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2010年4月21日 (水)

自然の脅威を再認識

 山崎直子さんらが乗るスペースシャトル・ディスカバリーが20日、ケネディ宇宙センターに帰還した。人類は宇宙に飛び立ち、地上に戻ってくるほどの技術進歩を達成した。その一方で、アイスランドのエイヤフィヤットル氷河下の火山噴火の影響で、欧州の空は数日間、航空機が飛べなかった。まだまだ人間の力は自然に及ばない。最近の世界各地で起きた大地震もそうだが、自然の脅威を改めて謙虚に受け止めたいと思う。

 火山の噴火は、世界の災害の歴史が示すように、私たち日本人にとっても他人ごとではない。富士山の宝永の大爆発(1707年)は、当時の江戸でも降灰が積もったほどの大きな規模で農業・農家に深刻な打撃を与えた。新田次郎の『怒る富士』はこの噴火を題材にした小説である。その富士山はいまから10年近く前に、噴火が起きる可能性がある兆候を一時示したことがある。もしも、富士山の雄姿が影も形もなくなるほどの大噴火をしたら、日本の経済・社会はどうなることか。

 それで思い出したのだが、石黒耀の小説『死都日本』(2002年刊)は読んでいて、背筋が寒くなる思いがしたほどリアルな内容だった。霧島火山近くのカルデラで起きた巨大火砕流の噴火が南九州を全滅に追いやり、これが南海トラフのプレート境界地震を誘発、日本全体が壊滅的な打撃を受けるというものである。学問的にもきちんとした裏付けがあるそうで、火山・地震国家日本の宿命みたいなものを感じた。災害は忘れたころにやってくる。そのことをおりおりに思い起こし、備えを確認したい。

 アイスランドの火山噴煙は気流に乗って欧州の空に広がった。富士山の噴火にせよ、霧島の噴火にせよ、噴煙が気流に乗って拡散するというのは、自然のさだめである。話が飛躍するようだが、原子力発電所から大量の放射性物質が放出したら、やはり、気流によって核汚染が広がるおそれがある。地球温暖化対策の重要な切り札になりつつある原発だが、地震大国日本においては、万が一の大事故を懸念せざるをえない。自然の脅威を軽く見てはなるまい。

 アイスランドはヨーロッパの金融センターとして脚光を浴びた時期があるが、リーマンショックで海外からの資金が一挙に流出し、一転、金融危機に陥った。また、同国は地熱発電などの再生可能エネルギー中心にし、脱化石燃料の道を進んでいる。ヨーロッパの小国であり、かつ島国だからか、国の生き方を明確に定め、その実現に邁進している。当然、失敗もあるのだが、日本と比べると対照的な点が少なくない。 

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