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2010年4月28日 (水)

よそごとでないギリシャの財政破綻

 格付け会社、スタンダード・&・プアーズがギリシャの長期債務格付けを3段階下げて、投機的な水準であるダブルBプラスとした。ポルトガルについても2段階下げ、シングルAマイナスにした。これを受けて、ユーロ通貨が値下がりし、欧州や米国の株式市場もかなりの下げを示した。日本の株式市場も下げた。

 日本はギリシャ以上に国家財政の状況がひどいが、国債のほとんどを国内で消化しているので、深刻な財政危機は起きない、という見方がこれまで支配的だった。しかし、今後も安心していられるだろうか。

 新聞や週刊誌が財政破綻のおそれが出てきたとして特集を組んだりするようになった。現金や預貯金は極端なインフレなどが起きれば、ほとんど無価値になるから、いまのうちに外国の通貨・金融商品に換えることを勧めるようになったりしている。すでに、ブラジルなど新興国への投資信託などが少しずつ日本で増えているようだ。

 こうした海外への資本逃避は、わが国の財政破綻が近いと予測されればされるほど拍車がかかるだろう。それに、米国や欧州で自由に動き回れるファンドなどのカネは弱みに付け込むから、危機的な日本財政を投機の対象にすることもありえよう。金融から見た日本はきわめて脆弱である。

 最近、堺屋太一が10年後の日本の姿を新聞に連載し始めたが、そこでは、日本が凋落し、仕事のない若者らが中国に出稼ぎに行くようになると予測している。しかし、私は10年も経たないもっと早い時期から、日本はそういう状況に追い込まれるのではないかとも思う。国際情勢をわきまえた外交・安全保障政策になっておらず、財政再建に真剣に取り組む姿勢もみられない。それに政府は経済成長を軽視しているからである。

 人口減、高齢化などで国内の貯蓄率は低下の傾向にある。財政再建を果たすのはどんどん難しい情勢となっている。そういう状況下で政府が何をすべきか。与野党ともに、国の再生をめざして真剣に模索するようになってほしい。

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コメント

たびたびのコメント失礼します。

ギリシャをはじめ、財政危機の状態にある欧州PIGS諸国と日本を混同するのはいかがなものでしょうか。

共通通貨を採用しているがために、貨幣発行権が自国に無いPIGS諸国では、中央銀行が借換債を引き受けることができないので、償還期の国債は必然的に市場消化か現金消却するかしかありませんので、今回のような場合、国債の格付けが大幅に引き下げられるとともに、政府の資金調達も困難を極め、不況下であるにもかかわらず増税と歳出削減をせざるを得ないために、ますます経済は落ち込んでいきます。
さらに、共通通貨ゆえに為替レートが減価することもありませんので、輸出も伸びないという二重苦です。
このような欠陥だらけの共通通貨体制は近い将来崩壊するでしょう。

以上のような特殊な状況におかれている欧州PIGS諸国とわが国は状況が全く違いますから、単純な比較は厳に慎むべきでしょう。

なお、「政府は経済成長を重視している」とのご主張ですが、緊縮財政と経済成長がどうして両立するのでしょうか。2002年から2007年まで、年率で名目1%に満たないとはいえ、経済成長が確かに存在しましたが、これは米国の好景気により、輸出が好調だったに過ぎないのです。このような輸出頼みの結果、リーマン・ショック後の経済の落ち込みは主要国で最悪です。もちろん、内需を拡大しなくとも、新興アジア諸国向けの輸出が好調となれば、再びわが国でも(微々たる)経済成長が起こるでしょうけれでも、輸出産業が儲かるだけに過ぎません。

こうして考えて見ますと、経済は結局需要で決まることがわかるので、内需を縮小させる緊縮財政下で経済成長を成し遂げるためには、外需頼みになってしまいます。
それとも、緊縮財政と経済成長を両立する秘策をお持ちなのでしょうか。であれば、具体的な方策を示すのが責任ある態度であると思います。

失礼いたしました。

投稿: wakasa2009 | 2010年4月29日 (木) 00時52分

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