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2010年5月12日 (水)

業績低迷なのに、みずほFGがまたも大型増資へ

 長く株式市場を見てきた経験では、増資と言えば、普通、設備投資など事業拡大に充てる資金の調達が目的である。事業の発展で収益が拡大する見通しがあるからで、株主もそれによって利益を享受する見込みが高いから増資払い込みに応じる。

 しかし、みずほフィナンシャルグループ(FG)が6月にも8000億円もの普通株増資を行う方針を固めた(日本経済新聞)というのを、同様に前向きに評価できるのだろうか。日経によると、①国際的な資本規制強化の流れに沿って財務基盤を強化する、②アジア向けなど新戦略に沿った成長投資に振り向ける財源を確保する、というもっともらしい説明がなされている。

 それとともに、前田みずほFG会長、斎藤みずほコーポレート銀行会長、杉山みずほ銀行会長の3人の会長が退く方向で調整に入った、と妙な書き方になっている。

 08年のリーマン・ショック以降、米国の銀行がいち早く収益を回復したにもかかわらず、日本のメガバンクは収益力が低い。それにもかかわらず、大規模の増資をするため、株式希薄化で株価は下がり気味だ。なかでも、みずほFGは株価が一段と低迷している。

 資本規制に対応するための増資はやむをえないが、それで得た資金を活用して収益を高めるのが経営者の責務である。さもないと、株主の利益を損なう。そうした視点で、みずほFGを見たとき、経営に問題が多い。第一に、富士銀行、第一勧業銀行、日本興業銀行の3社が02年に合併して1社になったはずなのに、人事などで旧3社の垣根をいまだに残している。今度退くとみられる3人の会長はそれぞれ富士、一勧、興銀の出身である。対等合併だからといって、旧3社間で均等な人事を行うなどというのは時代遅れもはなはだしい。

 第二に、持ち株会社の下に法人向けの業務を行うみずほコーポレート銀行と、個人顧客を対象とするみずほ銀行と分けているが、グループの収益力を見れば明らかなように、法人、個人と分けているのは管理部門が重複してコスト増を招いていると思われる。2つの銀行が一緒になれば、コスト引き下げが可能だし、FG内部での内向きの競争が減るだろう。

 第三に、ものをいう大株主が存在しないため、横並び経営がいまも続いていて、経営革新を推進すべきだという圧力がかからない。日本人ばかりが年功で経営者になっているので、めまぐるしい世界の潮流から取り残されている。まず改革で着手すべきは、経営トップを外部から引っ張ってくることである。ソニーや日本板硝子のように外国人経営者をトップに据えるのもいい。行員にも、外国人を大量に採用して、実力主義の社風に変えるべきだ。

 第四に、いまも多い株式持ち合いをすっぱりとやめることだ。また、国債を大量に抱えているのをごくわずかにすることだ。価格下落リスクが大きいことを知っていながら、保有し続けるのは背任的な行為である。

 第五に、いまだに土地などの担保を受けて融資するというビジネスが多い。かつてのように、人を見て、あるいは事業の将来を見て融資するか否かを判断するように担当者を鍛えねばならない。

 いまの政府は郵便貯金を国有事業として強化拡充しようとしている。銀行界はそれに反対しているが、自らの収益力を高める経営戦略を打ち出すこともなく、ただ反対と言っているのでは、国民から銀行支持の声も出てこない。みずほFGに最も言いたいことだが、メガバンク、しっかりせよ。

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