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2010年5月 3日 (月)

変動金利型住宅ローンにひそむ恐怖

 歴史的とも言うべき日本の超低金利がこれからもずっと続くのか、それとも財政破綻によって近い将来、高金利に転じるのか。住宅ローンを借りる人たちは、そのどちらになるのかによって大きく影響を受ける。

 住宅金融支援機構の民間住宅ローン利用者実態調査によれば、ことし2月には、変動金利型ローンを利用した人の割合が54.2%だった。金利固定期間選択型ローンの利用者は29.9%、全期間固定金利型ローンの利用者は15.9%だった。それ以前の1年間をみても、変動金利型が5割前後、全期間固定金利型がおおむね10数%、金利固定期間選択型がおおむね30数%である。

 このように変動金利型を選ぶ人が多いのは、いまも続く超低金利を反映して、元利合わせた月々の返済額が少なくてすむからだろう。そして、多くの人が返済能力ぎりぎりまで目一杯借りていると思われる。

 だが、日経のホームページに住宅コンサルタント、平賀功一氏が書いている『変動金利に忍び寄る「未払利息」の恐怖』を読むと、長期金利が上がり出したら、住宅ローンの返済ができなくなって、住宅を手放さざるをえない人が続出することが予想される。

 金融機関が提供している元利均等返済の変動金利型住宅ローンは5年ごとに月々の返済を一定額に決める。そこが曲者だ。5年間の途中で市場金利が上がろうと、返済額は変わらない。しかし、金融機関は適用金利を6ヵ月ごとに市場金利に合わせて変動させている。したがって、月々の利息支払い額は6ヵ月ごとに変動する。そして、返済額から利息支払い分を引いた額を元本返済に充てる。

 つまり、月々の返済額は5年間変わらないが、その間に市場金利が上がれば、月々の利息支払い額が増える。月々の返済額からこの利息支払い額を差し引いた残りが元本の返済に充てられるのだから、金利が上がると、当然、月々の元本返済額が減る。

 金利上昇によって利息支払い分のほうが月々の返済額を超えることもありうる。そのときは、未払い利息がたまって、返済元本に上乗せされる。当然、それをもとに次の5年間の月間返済額を決めることになる。超低金利が是正されていけば、月々の返済額は猛烈に膨らむことになる。

 そうした住宅ローンの仕組みをローン利用者は知っているのだろうか。ローンを提供する金融機関は金利が上昇した際のこうした返済リスクをきちんと利用者に理解してもらっているのだろうか。米国のサブプライムローン問題同様、ローン返済ができなくなってマイホームを手放すという事態が近い将来、起きる危険があるように思う。

 住宅ローンの期間は30年とか長期にわたる。これからの10年、20年、あるいは30年間、過去の超低金利がそのまま続く確率はきわめて低いと見ざるをえない。であれば、変動型の住宅ローンを、利用者が十分に理解しないままに、金融機関が提供するのは、利用者の自己責任を考慮に入れてもなお問題があるのではないか。

 政府もこれを放置しておいてはいけない。

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