« 民主党に「国家財政を考える会」ができた | トップページ | 鳩山政権から菅政権へ »

2010年5月31日 (月)

メキシコ湾岸の原油流出と宮崎県の口蹄疫

 人類は飛躍的な進歩を達成したが、驕ってはならない。そんな思いにかられたのが、米ルイジアナ州のメキシコ湾における原油流出と日本の宮崎県で起きた口蹄疫の流行である。

 海底1500メートルもの深さがあるところで世界の石油大手、英BPが石油を掘削・採取していたところ、海上石油基地が爆発事故を起こした。その結果、海底に近いところで破損したパイプから原油が海中に噴出し出した。この流出を止める対策はこれまでのところ皆、失敗に終わっており、流出量はいまや日量1.2万~1.9万バーレルに達するという。多い方の数字を年換算すると、100万キロリットル強に相当する。

 汚染で、漁業や観光施設、それにメキシコ湾の動植物など自然に与えている打撃はきわめて大きい。米国史上最大の環境汚染となっている。この対策でBPが負った支出は累計で9億3千万ドル(1000億円弱)とされる。これからも流出を止めるための新たな対策に取り組むが、最悪の場合、流出の量を減らすことはできても完全に止めることはできないという事態も予想される。

 20世紀は石油の時代であり、人類は地上で石油を掘削するだけでは足りず、海底油田を掘ってきた。それもどんどん深い海底に。21世紀になっても、その傾向は変わらない。輸入依存度が高まる米国は安全保障面からも海底油田掘削を進めようという流れにあった。ルイジアナ州沖合のこの事故は、技術に対する過信を戒める教訓である。

 ひるがえって、日本を見ると、牛、豚などの家畜を襲う伝染病の口蹄疫で、宮崎牛などで知られる宮崎県の畜産業は地域によっては壊滅的な打撃を受けた。多くの種牛まで殺処分せざるをえなかった。そして、いまなお、伝染病は終息していない。当初、こんなおおごとになるなんて、誰も予想していなかっただろう。

 いずれ、今回の大流行の原因が追及され、ある程度のことはわかるだろうが、今回の経緯から気付いたことがある。家畜を一ヵ所に集中して飼育するとか、畜産農家が特定の地域に集中すると、伝染病が発生したときに伝播しやすいのではないか。それには、人の移動、クルマの移動なども大きく関わっているだろうが、いずれにせよ、まだまだ人智の及ばないことがあるということを改めて思い知らされた。人間はもっと自然に対して謙虚でなければならない。

 鳥インフルエンザのことは忘れかかっているが、いつ本格的に流行し、人から人へと感染する時が来るかもしれない。ウイルスは生き物であり、治療薬ができたと思っても、変異で効き目がなくなる可能性が大きい。ウイルスとの闘いはいたちごっこなのである。

 一方、かつて、熱帯林の開発で人類にも広がったエイズは、当初、死の病と思われていたが、治療薬の開発により、天寿を全うするまで発症しないことが可能になった。神をも恐れぬ人類に与えられた罰かと思ったこともあるが、人類は科学の成果でそれを乗り越えたとも言える。

 とはいえ、人類は驕ってはいけない。自然の前にあくまで謙虚でありたい。自然の生態系の全体にせよ、地球温暖化のメカニズムにせよ、まだまだ、人類がわかっていないこと、できないことだらけなのである。虫1匹でさえ、人間は生命体を創造することが不可能である。 

|

« 民主党に「国家財政を考える会」ができた | トップページ | 鳩山政権から菅政権へ »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/184848/48508888

この記事へのトラックバック一覧です: メキシコ湾岸の原油流出と宮崎県の口蹄疫:

« 民主党に「国家財政を考える会」ができた | トップページ | 鳩山政権から菅政権へ »