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2010年5月22日 (土)

日銀が成長分野に新貸出制度だって?

 日本銀行が21日の政策委員会・金融政策決定会合で、成長基盤強化に向けた企業の取り組みを資金供給の面から後押しすること、および政府の政策運営と整合的にする方針を決めた。民間金融機関を通じて成長産業分野の事業に低利の資金を供給するもので、金融機関には政策金利(現在は年0.1%)で融資し、期間は原則1年という。

 この制度のポイントの1つは、日銀が成長分野だと認めた分野の事業に限って低利資金を民間金融機関を通じて供給する点である。いつの間にやら、日銀は経済産業省のような産業育成官庁になったらしい。第2次世界大戦後の“傾斜生産”では石炭、鉄鋼といった復興のカギとなる産業に復興金融公庫(のちに日本開発銀行になった。いまの日本政策投資銀行)から長期低利資金を供給した。今回は、産業育成に素人の日銀が、あそこが有望とか決めるらしい。

 政府は日本政策投資銀行の完全民営化を棚上げし、政策金融を担う政府系機関に逆戻りさせている。したがって、産業育成にもっぱら従事してきた政策投資銀行を通じて低利融資するのなら、理屈はわかるが、今回の日銀の決定はそうではない。

 なぜ、通貨の番人である中央銀行が、特定の分野の企業に対して民間金融機関を通じて低利融資に乗り出す必要があるのか。それに、そもそも、何が成長分野かを判定する能力が日銀にあると言えるのか。それらが説明されていない。

 一般論としては、環境分野だとか、エネルギー分野とかが成長分野とされるが、今後の日本経済を発展させる新しい分野が何かは机上の論議で決まるものではない。企業家精神を持つ事業家が新しい分野を創造し、発展させることで経済発展が進んできたのである。第2次大戦後のような発想は、画期的な新産業分野を生みだすことには必ずしもつながらない。

 鳩山政権は日銀に対し、陰に陽に政府の経済政策に協力するよう圧力をかけている。これに対し、民主党が日銀総裁・副総裁人事に口をはさんできた経緯があるせいか、日銀はかなり神経質になっているようにみえる。今回の決定は、そうしたおびえが底流にあるからではないか。やらなくていいことをやって、かえって、政府につけいる隙を与えているようにも思える。

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