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2010年6月13日 (日)

映画「ONE SHOT ONE KILL」の衝撃

 米国のサウスカロライナ州パリスアイランドに海兵隊の新兵訓練所(ブートキャンプ)がある。そこでの入隊から卒業までを記録した映画「ONE SHOT ONE KILL ― 兵士になるということ ―」を見た。

 日本にも自衛隊という名の軍隊があるが、世界最強の米軍の兵士がどのように育成されるのか、私たち日本人は全く知らないし、想像もできない。しかし、米海兵隊の新兵訓練の内容がどのようなものかを淡々と記録しているこの映画を見たら、多くの人は激しい衝撃を受け、考え込むだろう。

 私の感想は以下の通りだ。

 バスで深夜、キャンプに到着する。着くや否や、教官が大声でがなって指示する。そして、訓練所の建物に入ったら、立て続けに教官があれこれ命令し、頭髪を丸坊主に刈るなど兵士となる準備をする。兵士到着から48時間は眠らせないという。

 建物の中に入ったら、娑婆とはお別れ。全く別のものさしが働く世界になる。即ち上官の言うことには絶対服従である。皆、大声で「Yes, Sir !」と叫ぶ。上官の指示、命令に疑問を抱くことは許されない。戦闘の最中を想定すれば、当然のことではあるが、私たち民間人からすると、異様な感じがする。

 「虐待をしてはいけない」と上官が命ずる。もし、直属の上官がそうした行為をした場合、その上官の上官にクレームを申し立てなさいと言う。新兵は多様な人種から成り、女の新兵もいる(ただし男と女とは別々に訓練している)だけに、虐待禁止を明示するのは適切だ。

 戦闘の訓練は、当然のことながら、敵兵を殺すための訓練である。海兵隊は、兵士が敵兵と銃撃戦や白兵戦を展開するから、ライフル銃による射撃の訓練や格闘技の訓練などを行なう。肉体を鍛え、兵器などの操作能力を高める。卒業前には実戦を想定した野外訓練を3日間にわたって行なう。

 わずか12週間の訓練期間だが、ここで、海兵隊員となるための基礎をマスターする。志願した若者たちは入所する前と比べて、自分が成長し、一人前の兵士に“変身”したような気持ちになるようだ。ちなみに、海兵隊のモットーは「名誉、勇気、献身」である。

 米国は徴兵制ではなく、志願制の国である。主に貧しい若者や、仕事のない若者が兵士になる。兵役中に技術を身につけて民間に転身したいとか、将来、大学に行きたいなどといった事情で志願しているのだろう。しかし、日本と違って、米国の軍隊は世界のあちこちで戦争しているので、最前線に送られて戦い、中には戦死する兵士もいる。それも相当の数にのぼる。それに、戦争の大義が信じられないまま、敵という名の人を殺すことに疑問を抱き、精神的に病む兵士もいよう。新兵訓練所を巣立つ若者たちは、そうした苦悩の現実をまだ知らないから、屈託がない。

 この映画のプロデューサー、景山あさ子氏は「以前、沖縄で米海兵隊の兵士にたくさん会った。しかし、あまりに幼い。この子たちはどうしてここ(沖縄)にいるの?と思った。屈託のない若者と中東などでの凄惨な戦闘とは対照的で、まだ人を殺していない若者たちが戦闘を体験したら、そのあと、彼らはどう生きていくのかと思った」という。それがこの映画を制作する動機の1つだったとのこと。

 沖縄における米軍基地の問題を側面から取材、記録したこの映画。よく、米国政府は新兵訓練所の撮影を許可したものだと感心する。沖縄問題で日本に配慮したのかもしれないが、このオープンな姿勢は中国などの主要国にぜひ学んでほしい点だ。 

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