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2010年6月19日 (土)

役員報酬は高い?

 上場企業の前3月期決算株主総会に関連して、年間報酬が1億円を超える役員の名前と金額が個別に公開されている。ストックオプション(約4億円に相当する)を加えると、ソニーのハワード・ストリンガー会長兼社長のように8億円強になる役員もいる。

 高収益をあげて成長している上場企業の経営者なら、収益向上への貢献が大きい取締役や執行役員は1億円を超えるか否かは別として、貢献の内容に応じて多額の報酬を受け取って当然だ。

 しかし、いざ有価証券報告書で、1億円で線引きし、それを越える報酬を得ている経営者の名前などを公表するように義務付けた結果、世間では、名前のあがった経営者に対し、誰それはもらい過ぎといった批判、ねたみが生じかねない。これでは経営者報酬が上がりにくくなる。今後、個人の所得税率が相当上がる可能性が大きいが、そうなったら、経営者の税引き所得はかなり減る傾向をたどるのではないか。経営者という職業の魅力は薄れるだろう。

 これまで公表されたデータを見て気が付くことがある。外国人(主に米欧人)が受け取る報酬と、日本人が受け取る報酬とに格差があることだ。資生堂の取締役執行役員常務(今期から副社長になる)のカーステイン・フィッシャー氏は1億4000万円で、前田新造代表取締役社長の1億2100万円よりも多かった。エーザイのロネル・コーツ執行役(米子会社社長)は1億4000万円と、内藤晴夫社長の1億3600万円を少し上回った。

 この格差をどう解釈するかだが、それなりの外国人経営者を雇うには、国際的な経営者の“相場”にしたがって報酬を払わねばならないということだろう。言い換えれば、日本企業における日本人経営者の“相場”は国際的な“相場”よりかなり低い。それは、日本人経営者の能力が国際水準からもかなり劣っているからかもしれない。もし、そうなら、日本人経営者ばかりで経営している日本の大企業は、グローバル競争から脱落するしかない。

 この点で興味深いのは日本板硝子である。同社の経営に当たる執行役5人のうち、3人が買収したピルキントン社の出身であり、社長兼CEOには、デュポンの幹部を務めたクレイグ・ネイラー氏が就く。そして、執行役の報酬決定について「任用契約条件が市場競争に耐えうるようにし、またグローバルビジネスにおいて世界中から高い能力を持つ執行役を惹きつけ、確保し、かつ動機づけるように報酬内容を設計する」、「グローバル企業における概ね市場の中位数に報酬水準を調整する」としている。

 野球の選手、相撲の関取、歌手、作家等、それぞれの分野、およびその中にいる人の報酬が高過ぎるのか、妥当なのかを測る客観的なものさしはない。同業者の中での比較で、あの人のほうが上だとか下だとかいう相対的な相場観がなんとなくあるようにも思えるが、絶対的な水準がいくらであるべきか、という基準はない。そうしたことは、企業経営者についても当てはまる。日本的相場観は視野が狭すぎるのではないか。  

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