« 消費税引き上げが参院選挙の争点になったが | トップページ | 年金型生保への二重課税に違法判決 »

2010年7月 4日 (日)

相撲協会理事長代行に検察OBとは

 野球賭博に力士や親方が関わっていたため、日本相撲協会は4日、解雇などの処分を決めるとともに、謹慎となった武蔵川理事長の代行として協会外部理事の村山弘義氏(元東京高検検事長)を選んだという。ここで疑問に思うのは、なぜ検察OBなのか、である。

 検察OBは弁護士資格があるので、検察庁を退いたあとは、多くが弁護士を開業してきた。いわゆるヤメ検である。大物政治家がからむ汚職事件などの弁護側に立つこともしばしばだ。しかし、1990年代以降、それ以外の分野で活躍するOBが目立つ。

 例えば、検察首脳のOBが証券取引等監視委員会委員長とか、預金保険機構理事長、公正取引委員会委員長など政府機関やそれに準じる機構のトップに就くケースがあるし、近年、コーポレートガバナンスの強化に関連して、上場企業から要請されて、社外監査役や社外取締役のようなポストに就くよう求められる検察OBがかなり増えている。また、法科大学院の設立で、教授陣に検察OBがかなり入ったりもしている。相撲協会外部理事の村山氏もそうした1人だと言えよう。

 では、なぜ、企業は検察OBを社外監査役や社外取締役に入れるのだろうか。弁護士のように法律に詳しいとか、中立的な立場であるとか、総会屋・暴力団などににらみをきかせる、等々の理由が想像できる。

 しかし、検察OBで、しかも企業経営の経験が乏しい人を、企業が経営トップに据えるなんてことは常識では考えられない。たとえ一時的なトップ代行であってもだ。文部省所管で、いわゆる“国技”であっても、今回の相撲協会の理事長代行人事は一般の常識に反し、私には理解できない。

 以前、テレビの地方局のドキュメンタリー番組で、検察官の毎日の仕事ぶりを紹介したものを見たことがある。事件の捜査書類を読み、被告から聴取し、起訴状を書き、裁判で被告の有罪を主張する。ときには現場を調べる。そうした日々であり、一般の人々と付き合うことはほとんどない。何十年もそうした仕事しかしてこなかった検察の人間がOBになったからといって、急に広く社会を見、かつ理解するようになるだろうか。

 相撲協会の理事長代行は、代行とはいえ、社長同様の仕事である。さまざまな事柄について意思決定とリーダーシップを求められる。経験も知識も判断力も必要である。できれば洞察力もだ。したがって、そうそう簡単にこなせるポストではない。それだけに、特別調査委員会も、理事会も、今回、とんでもない結論を下したのではないか。村山氏は例外的に、相撲界のトップにふさわしい幅広い見識、判断力やリーダーシップなどを持っているというのなら結構な話だが。検察は官僚制度の1つであり、「正義の味方」でも何でもないが、そういった受け止め方をしている国民の錯覚が今回の人事の背後にあるような気がする。

 いずれにせよ、これからの相撲界のリーダーは、まず閉鎖的な協会を開かれたものとし、かつ、経営体として、まともなものに改めることが急務だろう。 

|

« 消費税引き上げが参院選挙の争点になったが | トップページ | 年金型生保への二重課税に違法判決 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/184848/48798791

この記事へのトラックバック一覧です: 相撲協会理事長代行に検察OBとは:

» 理事長代行に村山氏 大嶽親方、琴光喜関は解雇 はやぶさ:カプセル内に微粒子 JAXA慎重に分析 [自分なりの判断のご紹介]
人間世界っていろんな ことがあります。 ある意味おもしろい。 日本のことですけどね。 、 昨日から近くの出張所で 参院選の期日前投票が できるので行ってこようと 思います。 去年も紹介しましたが、 手続きすごく簡単だし、 入... [続きを読む]

受信: 2010年7月 5日 (月) 18時39分

« 消費税引き上げが参院選挙の争点になったが | トップページ | 年金型生保への二重課税に違法判決 »