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2010年7月 7日 (水)

年金型生保への二重課税に違法判決

 最高裁が6日、年金払い生活保障特約終身保険で保険金および年金を相続した遺族に対し、国税当局が相続税に加えて毎年の受け取り年金にも所得税を課しているのは二重課税に当たり、違法だとの判決を下した。まともな判断である。

 今回の判決によると、毎年の年金のうち、運用益を除いた元本相当部分については、すでに相続税を課されて、納税ずみである。したがって、さらに所得税(雑所得扱い)をかけるのは二重課税だというわけだ。相続税を支払ったあと、毎年、年金を受け取るときに課税されるとすれば、あくまで年金の運用益(損)部分だけが対象になるのだろう。

 相続税に加え、毎年の受け取り年金そのものにも課税するというのは、どう見てもおかしい。それなのに、国税当局が通達を出した1968年以降、30年以上、二重課税がまかり通ったというのはおそろしいことだ。その理由を考えると――

 第1に、通達は法律ではない。単なる解釈にすぎず、強制力はない。それなのに、この件においては、専門家が疑問を呈し、論議になるという経過をたどっていないようである。税理士などは本来、納税者の立場でものを言うべきだが、現実には、そうなってはいない。どちらかといえば、国税庁の手足になっている面がうかがえる。税を専門とする学者にしても、資料入手などの関係で、当局にべったりしがちだ。

 第2に、生命保険会社にも税のプロがいるはずだが、通達を問題視しなかった。今回の判決に驚いている彼らには、保険の加入者の利益を擁護する姿勢が欠けているのではないか。

 第3に、昔から、国税庁はこわい存在だと国民に思われている。国民は言われた通り、納税していればよい、税務当局に異論を唱えたり、批判したりすると、しっぺ返しがこわいという風潮がいまなお存在する。政治家も、国税当局には遠慮がちだった。このため、国税の官僚は、自分がやっていることは絶対に正しいと思い込むきらいがある。

 今回の事案のように、国税当局が間違っていた場合、さかのぼって税の還付をすべきだが、最長5年という限度がある。しかし、国家賠償請求などという訴えを起こされる前に、自らの間違いを素直に認め、5年より前の分の還付を実現しようと努力すべきだろう。

 国民の意識が税を「とられる」から「納める」に変わらないと、消費税の大幅引き上げは難航するに違いない。今回の最高裁判決に対して財務省・国税庁が示す態度、方針はその意味で注目に値する。 

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