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2010年8月12日 (木)

15年前には1ドルが79円台まで下がったことがある

 ドル安円高が進んでいる。東京市場では11日、12日に一時1ドルが85円を切って84円台にまで円高になった。さらに円高が進行する可能性があり、政府、日銀も神経質になっている。円高というと、思い出すのは、15年前の1995年4月には1ドル79円75銭まで円高が進んだことである。

 その当時、いまも強く記憶に残っているのは、国内銀行の大手さえもが個人の外貨預金を危険なものとみなしていたことである。1995年、1ドル80円台半ばの頃、ドル預金をしようと支店に行ったら、「ドル預金は危険です」、「お客さまは皆さん、リスクを承知しているとおっしゃいますが、ドル預金して損をすると文句を言ってこられます」、「当行にはドル預金よりも安全で有利な貯蓄商品がございます」と言い、ドル預金するのを認めなかった。ドル預金を取り扱っているはずなのに、ドル預金の受け入れを拒否したのである。

 当時、すでに国内定期預金の金利はあってなきがごとき低さだった。また、80円台の円高は行き過ぎで、長続きしそうになかった。したがって、リスクはあるが、ドル預金はかなり有利な投資だと思った。しかし、銀行は従来型の金融商品を売ることで十分もうけられるため、また、リスクに対する顧客の認識は乏しいと決めつけていたため、外貨預金を積極的に取り扱おうとしなかったのである。

 いまはドルの先物取り引きで、元手の何倍も投資できる。もちろん個人で。また、外資系だけでなく、日本の銀行も個人相手に、外貨預金をまともに扱うようになっている。米ドル以外に、ユーロ、豪ドルなどの預金も扱っている。近い将来には、銀行は個人向け預金として中国元も取り扱うようになるだろう。

 しかし、ドル安円高が今後、どこまで行くかはさておき、いまのような円高を利用してドル預金する個人はあまり増えていないようだ。銀行はもっと円預金からドル預金への切り替えを勧めていいと思うが、そんな気配はない。

 日本の個人金融資産(約1400兆円)は圧倒的に元本保証の円預金(貯金を含む)および生命保険に集中している。そうした状況はこれだけグローバル化が進展しても大きくは変わらない。しかし、いまのようなドル安円高のもとで、個人が円を売ってドルを買うというドル預金にどんどんシフトすれば、極端な円高は多少なりとも是正されるに違いない。

 日本の民間銀行、ゆうちょ銀行や保険会社、かんぽ生命などは、集まってくる預貯金の運用先に困って、日本国債をせっせと買いこんでいる。海外に投融資する能力を欠いているからでもある。それが結果として、日本政府の放漫財政を許し、財政破綻への道に拍車をかけている。いずれ起きることだが、日本国債の価格が暴落すれば、民間の銀行や保険会社、ゆうちょ銀行、かんぽ生命などはたちどころに経営が行き詰まる可能性が大きいのである。

 円高がどこまで進むか、予測しがたい。だが、国内にただカネを貯めておくしか能がないというお粗末さを克服できたなら、もう少し違った展開になるのではないか。 

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