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2010年8月29日 (日)

フェルドスタイン教授の日本への提案

 29日の朝日新聞朝刊に載った米ハーバード大学のマーティン・フェルドスタイン教授インタビューは、日本経済についての同教授の意見がとても興味深い。デフレと大規模な財政赤字に苦しむ日本経済に対するアドバイスである。

 消費税の増税を小刻みに「例えば、1%ずつ、3カ月や6カ月ごとに上げ、それを数年続ける。その一方で、その分を所得減税すればいい。」と言う。そうすれば、「財政赤字を増やすことにはならないし、家計には『消費増税で価格が上昇する前に買うべきだ』というメッセージを送ることができる」。その結果、内需が増え、物価も上がり、デフレ脱出につながるというわけだ。財政出動による内需拡大というバカの一つ覚えとは異なる政策オプションである。

 マクロ的に見ると、国民は膨大な預貯金を持ちながらも、それを取り崩して消費に充てようとはしない。だが、「物価が上がると思えば、人々はいまモノを買おうとする」。そうなれば、内需は増え、物価も上がる。結果として、デフレが解消する。国内経済は拡大し、税収も増えて、財政赤字は縮小に向かう――そうした波及効果が期待できるということなのだろう。

 目下、日本経済は円高にどう対処するかで大変だ。デフレは続いている。財政赤字は累増して、危機的な水準にある。このため、日銀はさらなる金融緩和に踏み切らざるをえない状況に追い込まれている。また、党総裁選をめぐる民主党内の権力抗争で、政治はほとんど停滞している。消費税引き上げ論議は封印されてしまったし、2011年度予算編成でも過度の国債依存が続きかねない。

 日本でも、かつて所得減税と消費税引き上げとをセットで導入したことがあるが、所得減税先行の形をとったためもあってか、国民の抵抗は少なかった。したがって、日本が長期のデフレからいまだ抜け出られず、しかも、累積財政赤字で動きがとれないという状況を踏まえたフェルドスタイン教授の提案は、日本経済の再生をもたらす可能性がある政策提言と言える。

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