« 民主党政権の本質は早くから見抜かれていた | トップページ | 15年前には1ドルが79円台まで下がったことがある »

2010年8月 9日 (月)

事実は小説よりも奇なり

 何年も前、高校の同窓会で、「皆さんは(100歳を超える)きんさん、ぎんさんは双子だと思っていたでしょう。実は三つ子だったのです。もう一人の老女の名前はどうさんです。それが4月1日付けの新聞の一面トップで報じられました」――まじめな顔で、新聞を見せながら、そんな話をしてくれた先輩は昨年暮れに逝って、もういない。これまで、日本は長寿命を誇っていたが、そうしたプラスの価値観が突如ひっくり返るような事実が明らかになった。

 最近、東京都足立区の111歳の高齢者が実は30年以上も前に亡くなっていたという報道をきっかけに、自治体の調べで、都内や他の道府県においても、何年も前に、家を出たきり所在不明とか、すでに死亡している、などといった100歳以上の高齢者がかなりの数にのぼることがわかった。新聞社の社会部記者でジョーク好きだったこの先輩がいまも元気だったら、この深刻な事実をどう料理して私たちに話すだろうか。

 親子や兄弟姉妹が音信不通で何十年もたつ、などというのは家族崩壊そのものである。地方では、大家族で高齢者が生き生きと暮らすことが可能だが、大都市では、核家族化し、かつ貧しい家庭も少なくない。高齢者を支える条件が家庭にも地域コミュニティにも乏しい。そうした事情に加え、地方自治体も国も、法で定められたことさえしていればよい、という典型的なお役所仕事しかしない傾向が強い。このため、とっくに亡くなった高齢者に年金を支給し続ける(家族が不法に収受する)、などといった財政のゆるふんが発生したりもするのである。

 第二次世界大戦後の日本は、経済、社会、暮らしなどが絶えず変わってきたのに、行政はそれに柔軟に対応することができなかった。長寿化などというが、寝たきり(寝かせっきり)や痴呆状態になっていて、家族のほうも医療や介護で無理に長生きさせていることに疲れ果てる話も聞く。事実は小説よりも奇なり、というが、長寿国家、日本の実態は、寒々しい限りである。

 原口総務大臣は記者会見で「行政的な手段だけでは対応できないような劣化が日本の社会に起きているとしか思えない」、「パーソナルサポート、人に寄り添う仕組みをしっかり作っていこうと考えている」と優等生的な答弁をした。それも大事だが、ほかにもいろいろな問題点がある。駄目な行政が安易にしゃしゃり出るのも考えものである。

|

« 民主党政権の本質は早くから見抜かれていた | トップページ | 15年前には1ドルが79円台まで下がったことがある »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/184848/49106082

この記事へのトラックバック一覧です: 事実は小説よりも奇なり:

» ケノーベルからリンクのご案内(2010/08/10 09:20) [ケノーベル エージェント]
足立区エージェント:貴殿の記事ダイジェストをGoogle Earth(TM)とGoogle Map(TM)のエージェントに掲載いたしました。訪問をお待ちしています。 [続きを読む]

受信: 2010年8月10日 (火) 09時20分

« 民主党政権の本質は早くから見抜かれていた | トップページ | 15年前には1ドルが79円台まで下がったことがある »