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2010年8月15日 (日)

日本再生の道はあるか

 日本経済団体連合会の月報『経済Trend』8月号と経済同友会の月刊誌『経済同友』7月号を読んだら、日本の現状に対する危機意識と改革の提案がいっぱいだった。日本経済はずっと低迷しているが、そこからどうやって脱するか。靖国参拝の是非を云々するのもいいが、国の根幹である経済の立て直しにもっと真剣にならねばならない。以下は参考に供すべきと思った部分の引用。

 ・岡本行夫(外交評論家)=日本の力はこのまま下がり続けるのか。「いまがその分岐点だ」と言いたいところだが、残念ながら、そのポイントは過ぎてしまった。政治は迷走し、外交は目標を失い、日米関係は不安定化し、財政は悪化し、競争力は後退し、国としての覇気もなくなっていないか。国際会議で「日本」という名前が言及される時は、「衰退しつつある」とか「下降の続く」といった形容句付きのことがしばしばだ。日本の最後のよりどころは、企業の競争力だ。‥‥(中略)‥‥要は、現状に妥協するのではなく、「必ず前に進むのだ」という意思を国全体が持つことだ。

 ・土居丈朗(慶応大学経済学部教授)=我が国では、依然として、企業に重税を課しても本社や生産・営業拠点を我が国に置き続けることに疑いを持たない国民が多数いる。しかし、現実はそうではない。

 ・岩井克人(国際基督教大学客員教授)=会社のあるべき姿についての正解は、誰かが教えてくれるものではない。‥‥(中略)‥‥いま、経営者に求められるのは、ヴォルテールが言うように「自分の畑を耕していくこと」にほかならない。“違い”が利益を生み出すという資本主義の単純で本質的な原理に立ち返って、自社の畑を耕していただきたい。【以上は『経済Trend』から】

 ・石原邦夫(東京海上日動火災保険取締役会長)=(日本は)いたずらに悲観するのでなく、政府は、いばらの道でも「こういう方法に進むのだ」という方向を示さなければなりません。5~10年先の将来像を示し、構成員のやる気を引き出すという点では、企業経営と同じです。

 ・前原金一(経済同友会副代表幹事・専務理事)=企業も、「もう1人採用運動」をするなど、若者の雇用に取り組むべきだと思います。‥‥(中略)‥‥財政健全化のためには、国民が等しく分かち合うことを覚悟しなければなりません。‥‥(中略)‥‥一方で、国の支出が多すぎるという問題もあります。地方空港はその最たる例でしょう。

 ・新浪剛史(ローソン取締役社長CEO)=財政問題や、経済成長でポテンシャルのある分野を伸ばすことも大切ですが、まず根本的に大切なのが若返りではないかと思っています。そのためには、「老」、「壮」が安心してリタイヤできる、もしくは起業や、NPOや社会的企業などで活動ができるような仕組みを整えていくべきでしょう。‥‥(中略)‥‥今のままでは高齢化とともに、企業のカルチャーも保守的になって、ますますチャレンジしない状況になります。

 ・小林栄三(伊藤忠商事取締役会長)=アジアの成長を取り込むことによるわが国の金融・資本市場へのメリットは大きいと考えます。まず、国内の余剰資金が有効に活用されます。配当・利子などの所得収支(黒字)や経常利益も改善します。またアジア向け金融ビジネスも活性化します。‥‥(中略)‥‥これには世界最高水準の市場の「質」を目指すことが重要です。‥‥(中略)‥‥企業は異なった国籍、性別、文化を持つ多様な人材が尊重し合い協働できる環境整備を加速させなくてはなりません。

 ・佐藤龍雄(東日本高速道路会長兼社長)=こうした閉塞感の背景には、日本の雇用の流動性や多様性が確保できていないという、柔軟性の低さが一因とも考えられます。これが、企業や社会の活力を削ぎ、社会の活性化の足を引っ張っていると言えるでしょう。‥‥(中略)‥‥現在は低成長時代ですから、成熟産業から余剰人員が出てきます。‥‥(中略)‥‥産業構造を変える、成長するなどによって、働く場所を多く創出することが大切です。‥‥(中略)‥‥労働力が有望産業へ移動する道をつくることが大切で、(それがないと)いくら「行ってください」と旗を振っても、誰も怖くていけません。

 ・萩原敏孝(小松製作所相談役・特別顧問)=企業経営では、あらゆる戦略・計画の基本は現実を直視することから始まる。国の戦略の策定も変わらない。‥‥(中略)‥‥わが国のGDPに対する輸出依存率は17%程度と決して高くない。このことは、日本経済は、いまでも相対的に大きな内需に支えられて成り立っている、ということではないか。‥‥(中略)‥‥内需が飽和状態にある中で、外需依存の脱却を声高に言われても違和感がある。【以上、『経済同友』より】

 ほかにも紹介したい部分がある。それらを含めて、議会、政府が十分な論議を通じて、具体的な各論を形成し、実行するを求めたい。とともに、経営者自身に突き付けられた課題もある。それらへの問題提起として読んでほしい。 

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