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2010年9月 5日 (日)

中国に率直にものが言える「東京ー北京フォーラム」

 8月29~31日に東京で開催された「第6回 東京-北京フォーラム」は盛大だったという。会議の内容は、日本側主催者である言論NPOのホームページで読むことができる。日中関係は歴史問題などでいまだにもろいところがあるが、今回のフォーラムでは、日本側が歯に衣を着せないで発言し、中国側がそれを受け止める大人の関係にまでたどり着いたという点で、大きく進歩したという印象を持った。

 3日目の全体会議で基調講演に立った宮本雄二前中国大使は「中国にとっての台湾問題の重要性を世界にわからせることは難しく、中国では当たり前でも、なぜそうなのかとは言えないと思う。どういう客観的基準で中国の国境は決まっているのか。どうして中国が1つでなければならないのか。こういうことは深い知的作業を要する。なんでわからないのかなどと思わず、相手が納得するまで掘り下げること。安全保障については、中国の透明性と説明責任は大事である。中国はどういう世界をつくろうとしているのか。孔子と弟子たちが語った世界(自らの限界を知って努力する?)に近いことを望む」と言い切った。

 分科会で最も活発な意見のやりとりがあったのは外交・安全保障分科会だったようだ。日本側の発言者からは、中国の著しい軍事力増強の中身と意図について透明性を求める意見が強かった。これに対して、中国側からは、他国を侵略する意図はない、軍事力の透明性に応える必要はない、経済発展に応じた増強にすぎないという説明がなされた。

 南シナ海の問題は軍事力を後ろ盾に対処すべきだとか、シーレーンを海上生命線と呼び、南シナ海、マラッカ海峡を通って中東にまで言及する中国の最近の姿勢を日本側が取り上げた。これに対しては、中国側は退役将軍の発言にすぎないと指摘、公式の発表に注目してほしい、と語った。

 中国の核問題への姿勢や、中国と北朝鮮との関係などについても、日本側はストレートに疑問を呈した。記録を読むと、日本側が終始攻め、中国側が釈明に追われるという展開だったが、険悪な雰囲気になることは全くなかった。

 フォーラム創始者の1人、小林陽太郎氏があいさつで「率直な飾らない議論の認識が広まりつつある」とし、「お互い謙虚さと相互信頼を基礎にして不確実性を小さくする」ことを期待していたが、私も日中関係は新しい展望を持てる段階に入ったように感じた。

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