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2010年9月24日 (金)

地方自治のあるべき姿をわかっている片山総務相

 菅新内閣の閣僚に、国会議員でない片山善博慶応大学教授(元鳥取県知事)が入った。9月17日、初閣議後の官邸での記者会見、同日の初登庁での記者会見、そして21日の閣議後の記者会見、それらを見ると、片山総務相の地方自治・地域主権についての考えがわかる。

 片山大臣が言いたいことの1つは、地方自治には団体自治と住民自治の両方があるのに、従来の施策はもっぱら団体自治の強化だったという点だ。国と自治体の関係で、自治体の権限であるとか、自治体の判断権、決定権、自由度の強化、別の言い方をすれば、権限移譲、関与の廃止、義務付け・枠付けの撤廃、一括交付金化に取り組んできた。

 その反面、住民自治はおろそかになっていた。地方自治という車の両輪の1つ、住民自治の強化も必要だから、それを促進したい、住民投票はその1つの手法だと言う。

 片山大臣は、米国などの地方自治について語っている。歳入と歳出はつながっていて、地方政府がたくさん仕事をすれば、その費用を賄うため、増税せねばならない。仕事を減らせば(役人が少なくてすむなどで)、減税になる。大きな政府か、小さな政府かの選択でもある。どっちがいいかが住民の選択であり、政治参画である、と。日本は税率が固定されているが、それでいいのかという問題意識を皆持っているとも言う。

 地方六団体というものがある。全国知事会、全国市長会、全国町村会、および全国都道府県議会議長会、全国市議会議長会、全国町村会議長会の6つから成る。それぞれの間には地域主権改革をめぐって利害の対立がある。が、六団体ということで結束すると、対立点はさておいて、地方交付税交付金など、もっとカネを出せなどという話になりがちだ。それなのに、六団体の合意を「地方の総意」と言うことに、片山氏は「違和感がある」という。

 昔は、六団体の総意なるものは総務省の意思とほとんど変わらなかったという。そういうこともあって、全国六団体のそれぞれの事務総長は中央官庁、なかんずく総務省の天下りが多い。それにも片山氏は「違和感がある」と述べ、そういうところは「私が大臣になったから、多分、払拭できるでしょう」と語った。

 また、人事院勧告について、国家財政が破綻すれすれみたい、非常時になったときでも、人事院勧告をそのまま適用するのはいささか問題があるのではという意見もある、と指摘した。さらに、これに関連して、この勧告は従業員50人以上の企業の従業員給与をもとにしているが、これは一種の決めごとだから、基準の見直しもありうるのではないか、もっと柔軟に考える余地があると述べた。

 人事院の勧告対象は一般職の公務員である。非正規の職員は対象ではない。それに、地方公務員の場合、非正規職員のウエートが大きいので、人事委員会の勧告対象は狭くなっている。そうした点を考慮すると、人事院勧告の仕組みの見直しは検討課題の1つだと片山大臣は話した。

 片山氏は、総務省の仕事のうち、旧郵政省の分野については素人であると言い、勉強すると語った。その正直なところを買う。副大臣、政務官の補佐が必要だろう。しかし、真の地方自治をめざす姿勢は大いに評価したい。政治主導などと言っても、党内外は、わからず屋が圧倒的に多いだろうが、住民自治に根ざした地域主権の実現に向けて一歩、二歩と着実に実績を挙げてほしい。

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