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2010年10月 2日 (土)

「中国だけが発展することはありえない」

 10月1日、たまたま中国の国慶節の日に東京で開催されたシンポジウム「『次の10年』を考える環球国際シンポジウム~東アジア改革の行方~」を聞きに行った。東京経済大学、中国新華社『環球』雑誌社、国際協力機構が主催した。第1セッション「第三の三十年 中国の行方」がよかった。

 中国国家発展和改革委員会秘書長の楊偉民氏は、建国から最初の30年を「自立再生の30年」、次の30年を「改革開放の30年」と呼んだ。そして、これからの30年は「安定、健全、持続的な発展を遂げよう」と述べ、そのために経済発展方式を転換しなければならないし、それを加速する必要があると語った。

 この転換は、①外需依存から内需を増やす方向に、②人材を資源に、③農民の市民化、都市化、④低炭素社会への転換、⑤格差拡大から縮小へ、⑥政府主導から市場に任せた経済成長へ、などだという(通訳のせいにしては申し訳ないが、よくわからないところが結構あった)

 また、山猫ストのような形で行なわれた労働者の賃上げ問題について、「形式上の春闘はないが、もうちょっと穏やかなやりかたを労使で模索している」と述べた。

 そのほか、良い農地の喪失、生態系の破壊、大都市の交通渋滞などに直面して新しい空間政策を進めているとし、内陸で内需中心のメガロポリスをつくる、生態安全フィールドでの開発を制限する、などの例を挙げた。

 楊氏とは全く視点が異なるが、セブン銀行会長の安斎隆氏は、最近の日中関係を踏まえ、中国が傲慢にならないようにと“忠告”した。「中国の最初の30年は国家統合のためで、借金もできず、食料も輸入できず、餓死者がたくさん出た。次の30年も最初の10年は成果なし。『南巡講話』以降に発展してきた。これも国際平和があったからだ。海外の民間資本が自由に動けた」、「しかし、中国はいまのままを続けられるだろうか。調子がいいと、傲慢になる、米国も日本もそうだった。中国は絶対に傲慢にならないでほしい。いまや、世界経済に責任がある。自分だけが発展することはありえない。必ず相手国があるのだから」。

 安斎氏は「中国でわいろがはびこっているという話を聞くと悲しくなる」と述べ、それをなくすことが政治の安定につながると是正を求めた。その際、同氏は福島県二本松城の近くにある「戒石銘」を紹介した。大きな石に「爾俸爾給 民膏民脂 下民易虐 上天難欺」と書かれているものだ。江戸時代、登城のとき、家臣である武士に心得として読ませるようにしたものとされる。武士の俸禄は民の汗と脂によってつくられたものである、民を虐げることは容易だが、天の神様を欺くことはできない、という趣旨である。同氏は「これは中国の儒教からとったものだ」と付け加えた。

 第4セッション「東アジア時代へのイマジネーション」で、加藤紘一氏が、経済大国化した中国が、このままでは国際的にも国内的にも難しい問題に直面してゆくことを指摘していた。それも中国にとって、貴重なアドバイスだと思った。「良薬は口に苦し」。中国が次の30年を迎える中で、聞く耳を持つか否か、が世界の将来を左右する。

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