« 1人当たりGDPは人が暮らしていくための必要経費 | トップページ | 民主党は党の綱領をつくれ »

2010年10月28日 (木)

「外資が森を持ったのでは、森は残らない」

 10月28日の毎日新聞朝刊で、安田喜憲国際日本文化研究センター教授が「日本の森を外資では維持できない  生物多様性の象徴を守ろう」と題するコラムを書いている。欧米や中国は皆、国土の森林の大半を破壊し、水の循環系を破壊してきた。その国々が森林資源の豊かな日本に目をつけ、数年前から買収を始めている。これを放置していたら、日本民族の滅亡につながると訴えているのである。

 このコラムで触れている東京財団の提言「グローバル化する国土資源(土・緑・水)と土地制度の盲点~日本の水資源の危機Ⅱ~」(2010年1月)は、日本の土地制度が諸外国に比べて多くの問題点があり、外国人に買収された場合、自然系インフラを破壊されかねないおそれがあると指摘している。

 その理由は、第1に、日本は私的所有権が世界一強く、しかも外国人も日本の土地を所有できることだ。農地などを除き、ひとたび土地を所有したら、公共性や社会性を無視して何をしようと勝手である。地下水を無制限に汲み上げてミネラルウオーターとして輸出するとか、スギ林を皆伐してあとは丸坊主のままに放置するとか、が起きることも考えられる。しかし、それで水源涵養機能や土砂崩壊防備機能などが損なわれるとしても規制は困難である。

 現在、土地の所有、占有、運営管理、転売などを管理する法規制がない。これに対し、欧米や中国などは土地の私的所有権を認めないか、国家の収用権などが優先する。

 第2に、地籍調査が48%しか済んでいない。境界が確定していない土地が約半分ある。それに、林地の売買そのものは自治体に届け出る義務があるが、公開されていないので、売買の事実、それに誰が買ったか、何に使うのかが住民にはわからないことである。地籍を全て確定し、土地売買を公表すること、国土利用計画法による売買規制と公有林化が必要だとしている。

 一般に、日本は天然資源のない国といわれているが、森や水資源は豊かである。安田氏は、生物多様性が守られた日本の森は「伝統的に肉食用の家畜を飼わなかった」こと、「稲作漁労民の伝統的なライフスタイルの賜物」と書いている。これこそが世界が新たな世界観への目覚めとなるべきだとも主張している。

 おりから、生物多様性条約の第10回締約国会議が名古屋で開催されている。安田氏は生物多様性の象徴である森を守るという世界観を持つよう願っているが、そうした視点がこの会議の参加者に乏しいのは残念である。

|

« 1人当たりGDPは人が暮らしていくための必要経費 | トップページ | 民主党は党の綱領をつくれ »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 「外資が森を持ったのでは、森は残らない」:

« 1人当たりGDPは人が暮らしていくための必要経費 | トップページ | 民主党は党の綱領をつくれ »