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2010年10月22日 (金)

高原明生東大教授が「中国社会おかしいぞ」と

 「尖閣沖漁船拿捕事件と今後の日米中」と題して、高原明生東大教授が22日、日本記者クラブの「日米中」研究会で語ったことはとても勉強になった。私なりの咀嚼で紹介する。

 尖閣事件で、中国は強硬な対抗措置を次々に繰り出した。その背景について、高原教授は4点を挙げた。①社会矛盾の昂進、②昨年来の新外交方針、③昨年来の軍人等の激しい言説、④権力闘争の気配、である。

 中国経済は毎年10%前後の成長をとげているが、高原教授によると、過去5年間、収入が増えない国民が4割近いという。また、大学卒の就職難もすごい。そればかりか、環境、水不足、自然災害、高齢化などの問題がある。そのため、現状に対する不満、将来についての不安が広がり、高まっているという。宗教の信者が増えており、プロテスタントの信者は1億人に達しているという。中国社会はおかしい。

 中国の外交政策は昨年、自己主張を強めるものに変わったと高原教授は言う。それに伴い、中国のメディアはかつてない激しい言説を沢山載せるようになったそうだ。例えば、シーレーン確保においてインドが邪魔だとして、インド洋の制海権を握るべきだとか、中国のミサイルはインドの原子力発電所を攻撃できるとか、南シナ海を制しなければ中国民族の生存が危ういとか。こうした言説と一体の強硬な外交方針をとった結果、各国とのあつれきを招くばかりだった。中国外交にとって“annus horribilis(ひどい年)”だったという。

 最近の反日デモは現地当局が正式に許可したものもあるが、実際にデモが始まると、当局が抑えることができなくなっているという。政府に対する不満や批判が強いためで、「和諧社会」を揶揄するスローガンまで出てきている。

 中国の指導部では権力闘争が始まっている気配で、本来、穏健派だった胡錦濤や温家宝らがいまでは日本などに強硬な態度をとり、強硬派(海軍、石油派)からやり過ぎという批判が出ているそうだ。

 中国の軍事力は経済発展とともに今後も強大化する。日本は日米安保体制に頼るものの、米国の出方によっては、将来も続くかわからない。日本は今後どのような課題を抱えているのか。高原教授は5点挙げた。①類似事件の再発防止。海上保安機能を強化すべきだ。②危機管理体制の整備。今回、対応できるシステムの欠如が明らかになった。③安全保障対話と防衛交流の促進。中国と喧嘩するという道はない。したがって、日米中3ヵ国協議を進め、事件が起きたとき、中国側と連絡をとって対処する危機管理メカニズムの構築が必要だという。

 ④排他的ナショナリズムの抑制。「自立と平等と共生」を理念とする東アジア共同体の形成を図る。日本の歴史的教訓をもとに、「核心的利益」とか「海上生命線」と言うのはやめたほうがいいと中国を説得する。⑤日本のソフトパワーの強化。人的資源しかない日本として21世紀にふさわしい国力を持つ必要がある。それがなければ、メッセージも届かないという。教育を重視し、どのような人材を育てようとしているか明確にしなければならない。新聞に「外交」面を創設すべきだ。途上国などの首脳が来日しても、日本の新聞にはほとんど載らないのはまずい。外国語による対外発信を強化すべきだ。

 高原教授は“脱線”して、「日本はまだ発展途上国だ。住宅は狭いし、通勤地獄だ」と述べて、まだまだ経済成長できると御託宣。さらに、沖縄に理想的なエコシティをつくり、普天間基地の周辺住民に移ってもらう、基地はそのまま残す、その財源は消費税引き上げでまかない、国民皆で負担する、とのアイデアを披露した。

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