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2010年10月15日 (金)

「国家には背骨が一本入っていないといけない」

 8月まで駐中国大使だった宮本雄二氏が15日、日本記者クラブで中国について話をした。尖閣諸島の問題について、同氏は「相当知恵をしぼらなければ解決できない」と語った。また、質問に答えて、「国家には背骨が一本入っていないといけない。自分の国は自分で守るということでなければ。それなら、外交にも背骨が入る。これは国の生きざまの問題だ。国民が自分たちはどうするかをはっきりしないといけない」と述べた。

 宮本前大使の話はきわめて示唆に富むものだった。その一部を紹介すると――

 「中国というのは、複雑多面的、複合的な実態の国である。また、変化のスピードがあまりにも速い。この早い経済成長が中国に大きな影響を与えている。格差の問題は腐敗、不正と結びついており、なおかつ格差は拡大している」

 「中国政府の最大の関心は経済成長と社会の安定である。これでもって、相当、中国を解き明かせる」

 「中国に問題はあるが、崩壊しない。なぜか。第1に、中国をみるとき、その規模や多様性からくる中国スタンダード(ものさし)でとらえないといけない。第2に、中国の統治能力は高い。また、中国共産党の人材育成制度はすぐれている。派閥は、選抜を通じて上がってきた人たちの中での話だ」

 「中国の過去100年有余の歴史が中国の意識に色濃く影を落としている。弱い者はこういう目にあう、だから、強い姿勢をとらなければバカにされる、とか。偉大だ、大国だ、と自ら思うと同時に外国への猜疑心が強い。いまや、中国は世界大国になった。どういう世界に持っていくのかを語らねばならない。それなのに、世界が足を引っ張ろうとしていると思っている」

 「日中関係は2008年の共同声明で新しい段階に入った。世界の中の日中関係になった。そうなると、日中関係の問題は相対的にも小さくなる。ただ、中国では、反日は簡単に反政府に変わる。失業者、出稼ぎ者が反日デモに加わって大きな反政府運動になったりする。したがって、日本問題は限りなく内政問題である。これからも日中関係は苦難の道だ」

 「外交力というのは軍事力を含めた総合力。1つの大きな考え方で結びつけて、きちっとやるのが理想。日本では、国論が一致しないから、外交の当事者はエネルギーの7割を国内で使い果たす」

 「中国のインテリの理想論は儒学(儒教)。儒学は中華文明の支柱であり、民族として語り継ぐべきものだ。しかし、この伝統的価値観はいまの中国に戻ってきていない」

 「中国では、大国とは思うところ、やりたいことをやる、そういう空気が出てきた。彼らは米国をそういうものだと思っている。しかし、中国には覇道ではなく、王道を歩んで、世界大国の責任を果たしてもらいたい」

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コメント

尖閣諸島の問題によって、日中関係の安定的な発展を阻害することが残念ですが、両国の未来を期待しています。
反日デモの発生地から見ると、戦争中日本の統治が高い大連はほとんどないが 、戦争に巻き込まれなかった成都などで盛んでいました。そして、拡大を続ける日中貿易と民間交流が強めることなどは中日関係を改善する切り口になれるかなと考えています。

投稿: yuanbihua | 2012年3月 6日 (火) 13時50分

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