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2010年11月 8日 (月)

まじめに働く人たちが日本社会を支える

 紅葉のシーズン。新潟県、福島県を走るJR只見線の始発駅小出から終点の会津若松まで、車窓から錦秋の山々を満喫してきた。会津若松からは会津鉄道、野岩鉄道に乗って、冬が訪れる直前の華やかな錦織の景観を味わうことができた。

 国内を列車で旅すると、ありがたいことに、幹線であろうと、ローカル線であろうと、きちんと時刻通りに運行されている。そのおかげで、本数が少ない列車への乗り換えがスムーズにいく。地方のどこに行っても、電車の乗務員、駅員らがきちんと仕事をしている。旅で地元の人がまじめに働いている姿を当たり前のように目にするが、これこそが日本社会の強みである。

 話は飛躍するようだが、尖閣諸島周辺の海域を監視する海上保安庁の巡視船乗組員も、荒海の厳しい環境の中で、職務に精励していたと想像する。ユーチューブで公開されたビデオを見ると、想像は間違っていないと思う。しかし、巡視船に乗っている現場の人々は、事件後の日中のやりとりを見てどう思っているのだろうか。

 もし、同じような事案、つまり、日本の領海内で中国の漁船が操業し、日本の巡視船が領海内から出るよう呼び掛けても無視された場合、巡視船はどうすべきか。まして、漁船がぶつかってくるようなとき、どうすべきか。故意にぶつかってきた漁船の乗組員を逮捕するわけにはいかないとすれば、巡視船の役目は、違法行為を見て見ぬふりをするだけということになるのか。そこがあいまいなままだと、乗組員はまじめに仕事をする気にならなくなるのではないか。

 政府が明確な方針を示し、政府の責任で処理すべき問題を、政府が逃げて末端の組織のせいにする姑息なやりかたを繰り返していたら、現場で働く人たちの士気は確実に落ちる。それこそがこの事件の取り扱いで見落とされている重要な問題点である。メディアはそこを全く追及していない。

 いま、政府は流出ビデオの犯人探しに躍起だし、新聞、テレビなどもその問題を大きく報じている。だが、世論調査などからも読み取れるように、少なからぬ数の国民は、政府がさっさとビデオを公開し、どちらに非があったかを明らかにしたほうが問題を適切に処理できたのではないかと思っているようだ。それが菅内閣支持率の低下をもたらしている1つの要因だろう。

 情報の流出を防ぐためには、機密管理の仕方を厳重にする必要があるが、それとともに、政府や企業の職員、社員が仕事に意欲的に取り組み、仕事を通じて社会に役立つという前向きの気持ちを持つような職場であることが大事だ。まじめに仕事をする人々ばかりだと、機密情報の流出は起こりにくい。いま、日本の社会では、組織に対する忠誠心が薄れるどころか、不満を持つ職員、社員が増えているようにも見える。そうした社会の危機が時折、噴き出すのだろう。ビデオ流出を見ていると、そう思う。 

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