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2010年12月 9日 (木)

有権者の“ダブルスタンダード”

 鹿児島県阿久根市の竹原市長に対するリコールが成立し、出直し市長選挙が行なわれることになった。市職員の給与が高過ぎるとして、市長がそれを引き下げようとしたのがきっかけで、市長と市議会との対立が続いていた。名古屋市でも市長と議会とが対立し、河村市長が議会解散をめざしてリコールを試みたが、成立しなかった。地域主権を求める声が強まる中で、首長と議会との二元自治の仕組みに綻びがみえてきた。

 片山総務大臣は7日の記者会見で、阿久根市の問題に関連して、「有権者の皆さんが本当に身近な自治体の行政に何を望むのかを明確にされることが必要だと思います」と述べた。全くその通りだと思う。

 片山氏は以下のような趣旨の発言をした。「自治体職員の給与は自治体の職員給与条例で決める。その条例を決めるのは議会である。発意、つまり言い出しっぺは首長だが、最終的に決めるのは議会である。その議会を構成する議員を選んだのは住民である。だから、議員たちが決めたり、承認した職員給与のレベルが高過ぎる、けしからんと言って議会を非難するのは、天につばきするような面がある」。

 「議員を選んでおいて、その人たちが決定したことなどを非難する一方で、議会なんて要らないという人たち、そういう首長にある種の共感を覚えるというのは、一種の自己矛盾がある」。

 鳥取県知事をしていたときの体験から「有権者のダブルスタンダードみたいなものを感じた。首長の選挙では、改革志向とか、しがらみのない存在であってもらいたいと思って投票する。ところが身近な議員の選挙のときには、別の基準で投票する。地縁とか、血縁とか、世話になったとか」。

 「阿久根市の竹原市長は市民の考えが問われる、と言われていたが、その部分は私も全く同感だ」。

 9日付けの朝日新聞朝刊は、全国の地方自治体が出資・設立した土地開発公社、住宅供給公社、道路公社、計1112社が7兆6461億円の借金を抱え、そのうちの4兆4082億円については自治体が債務保証していると報じている。

 国が放漫財政なら、地方も同様だ。解散して自治体が債務を肩代わりすれば、自治体財政は夕張市の二の舞になりかねない。さりとて、放置しておけば、借金の利息が積み重なり、いつの日か、自治体の財政破綻を招く。

 少なからぬ自治体が深刻な財政状況にあるが、地元住民は必ずしもそのことを理解していない。自治体の住民が首長や議会議員の活動に厳しい監視の目を向けていくことが、その地域の未来を拓くことにつながる。

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