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2010年12月17日 (金)

2011年度税制改正大綱

 菅内閣は16日に開いた臨時閣議で、2011年度の税制改正大綱を決定した。内容を個々に見ていくと、評価できるものもあれば、そうではないものもある。

 個人の所得税および相続税の課税を強化するのは正しい方向である。極端な財政悪化状態を是正するためには、そして、少子高齢化に伴う社会保障費の増大に対応するためには、今後、相当の課税強化を要する。したがって、個人課税の重税化はおそかれ早かれ必要である。

 ただし、消費税引き上げと一緒に打ち出すべきだった。消費税引き上げはとかく金持ち優遇とみられがちで、したがって、消費税だけ上げるのは政治的に相当、大変である。それゆえ、今回打ち出した高額所得者、資産家に対する課税強化と一緒に消費税引き上げを打ち出せば、国民の反発は少なかったはずである。

 菅首相が主導した法人税実効税率の5%程度の引き下げは、グローバルな法人税率引き下げの流れに追随したもので、方向としては適切である。ただ、法人税率30%以下が世界のすう勢なので、2、3年のうちにさらに30%程度にまで下げるという2ステップを明示すべきだった。そこまですれば、日本企業だけでなく外国企業も日本での事業活動に新たに投資するインセンティブになりえただろう。

 一方で、税制改正により、企業の研究開発や減価償却に対する課税の強化を行なうというのは解せない。法人課税の税収の中から法人税率引き下げの財源を捻出せよというおかしな理屈がまかり通ったからだ。省庁の縦割りを超えて最適な税財政政策をとることができなかったということである。

 環境対策として環境税を導入することになった。具体的には、石油石炭税に「地球温暖化対策のための課税の特例」を設ける。増税分は温暖化対策に充てるとのことだが、それだと所管省庁の中での税の使い方にとどまる。上記の話と同様だが、増税による税収を企業の年金負担の軽減などに振り向けるという省庁を超えた発想があってもいい。

 国から認定されたNPOなどに対する個人の寄付について、所得税額から寄付の半分の税額控除を認めるという。新しい公共を支援するものとして前向きに評価できる。 

 この大綱の裏には、2011年度予算編成における大規模な歳出のニーズがあり、それを賄うための財源をどうやって確保するかという、差し迫った課題がある。本当は、その歳出自体をもっと切るべきなのに、いまの政府はそれにろくに手をつけない、つけるだけの力がないのである。その一方で、マニフェストにあるばらまき政策を実施したいという党内圧力は強い。

 政府は、2011年度一般会計予算について、一般歳出と地方交付税交付金とを合わせた政策経費を約71兆円以下に抑える、新規国債発行額を約44兆円以下に抑えるという予算編成の基本方針を16日の臨時閣議で決定した。しかし、2011年度も税収を上回る新規国債の発行を前提としている。

 このように、財政再建の方向を明確に打ち出せず、ばらまき色が強い予算案では、国会で予算案や税制改正案がすんなり通る可能性は少ない。それよりも何よりも、財政破綻の足音が近づいているのが不気味だ。

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コメント

言語は、考えるための道具である。
それぞれの言語には、固有の特色がある。
日本語には、時制がない。それで、未来時制もない。

日本人には未来のことが鮮明には考えられない。構文がないので常に未来の内容は混乱している。
結論も決断も下すことができない。
決断を慎重にするためではなくて、不鮮明で結論が得られないためである。

自分から考えることもできず、他人から伝えられることもない。
未来の内容そのものが、社会に存在しない為である。

未来の内容が脳裏に展開できないので、不安になる。
政治家も一般国民も理想社会の予測が立たない。
政治指導者の指導もない。

金の切れ目が、縁の切れ目としか信じられない。
人は信じられない。金を信じるしかない。
1500兆円の個人金融資産も社会資産となることなく宝の持ち腐れになっている。
金はあっても保育所には入れてもらえないようなものである。

英語の時制は、現実と非現実の内容を分けて考える作業に役立っている。
この作業は、英米の高等教育の課程で行なわれている。
現在時制の内容は現実であり、未来時制の内容は非現実である。

非現実の内容がなければ、人は無哲学・能天気になる。
神の意思に導かれることもなく、政治指導者の構想に導かれることもない。
大人になっても12歳の子供の精神状態にとどまる。
目先・手先にまつわる事柄ばかりを考えて生活することになる。

構想がなければ、備えあれば憂いなしとはゆかない。危機管理は、難しい。
一旦、問題が起これば、無為無策で閉塞感を味わう。
そのうち、何とかなるだろう。と見守る。
何とかならないのであれば、諦観に入る。
ああ、この世はむなしい。と漏らす。

こうした繰り返しが日本人の一生である。

http://www11.ocn.ne.jp/~noga1213/
http://page.cafe.ocn.ne.jp/profile/terasima/diary/200812

投稿: noga | 2010年12月17日 (金) 19時59分

諸外国に比べて高すぎる法人税率を引き下げて、企業の海外流出による税収減および雇用の減少に歯止めをかけなければならない。
毎年5%引き下げて、3年かけて15%引き下げることが望まれる。
ルーピー鳩山政権に比べて菅政権は、少しはよき方向に舵を切っているのは評価したい。

投稿: 高すぎる法人税率 | 2010年12月17日 (金) 18時52分

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