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2011年1月13日 (木)

生活水準の切り下げを覚悟する時代に

 13日付け毎日新聞朝刊の経済面に、伊藤隆敏東大教授の「人口減少社会」と題するコラムが載っている。人口減少の社会経済的なインパクトが年金制度と巨大な国債発行に深刻な影響をもたらすとして、次のように書いている。

 「年金生活者も含めて、いま生きている人々の全員が少しずつ生活水準を切り下げる覚悟が必要だ。さもなければ、やがて財政破綻、経済危機という形で、強制的に、急激な生活水準の低下が起きるだろう。」と。

 現在の日本は、国内経済の長期低迷で民間設備投資がさっぱり。超低金利のもと、国民の貯蓄の大半は預貯金に回っている。だが、銀行や郵貯などは融資のニーズが乏しいので、資金運用の対象として国債をたくさん保有している。こうした奇妙に安定した国内資金循環のもとで、わが国政府は大量の赤字国債を発行し続けることができ、大規模な財政垂れ流しをしてきている。その結果、年々、国の債務残高は積み上がり、いまや国のGDPの2倍に達するほどに膨らんでいる。

 しかし、このように、将来世代にツケを回すやりかたに政府は終止符を打つべきだ。それには、ツケ回しを縮小していく、つまり増税と赤字国債発行額の削減によって段々と財政を健全化する必要がある。それをしないと、伊藤教授が言うような悲惨な事態に追い込まれるだろう。

 民主党中心の菅政権が作成した2011年度国家予算も、大量の赤字国債依存を前提としている。土居丈朗慶応大学教授は菅内閣の予算編成について「ある意味で恨みを買うとか嫌われ役にならざるを得ないという人が閣内にいないといけない。ところが、そういう人がいない。結局、自分もいい顔をしようと思っているところがあるから、緩い歯止めしかかかっていない」、「政治主導というのは省庁横断的にやってこそだ。今の政治主導というのは、各省の三役が省内で自分の意見を通すために省庁縦割り丸出しでやっている」、「削ってもいいところは削ればいいのに、それをやらず、足りないところばかり付けている」と評している。(言論NPOのホームページより) 

 このように政治家の危機感は乏しいが、日本財政はいつ破綻したっておかしくないほど深刻な状況にある。破綻は時間の問題になりつつある。そうした危機感を抱く学者やエコノミストなどが最近になって目に付くようになった。伊藤教授もその一人である。最近会った日銀OB(元理事)も、来年には日本の金利が高騰し、財政破綻が起こるだろうと、珍しくはっきり言っていた。

 そうした発言の根拠の一つと思われるのは、EU加盟国のギリシャ、アイルランド、ポルトガルなど、財政破綻ないしその一歩手前の国々が相次いでいることだ。ユーロ危機で国際金融の混乱がいつ起きてもおかしくないし、それらの国に比べ財政危機の度合いがはるかにひどい日本が破綻に追い込まれる可能性は大きい。

 日本国家のガバナンスが緩んでいることも、諸外国から見て不安な点だ。政権の座についた民主党の国家運営に「?」がついただけでなく、自民党などの野党にも、財政改革を貫く姿勢はうかがえない。世界第二位の経済大国の座を中国に譲ったあとの日本は世界の中でどのような役割を担う国家であるべきか、国内では人口減、少子高齢化のもとで、どのような社会をめざすか、その姿を描くことなく、ただ迷走するおそれが多分にある。

 2011年、株価上昇で明るい年明けになったが、日本国の行く手は多難?のようだ。 

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