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2011年1月30日 (日)

連合・民主党の親密関係と非正規労働者

 例年通り、春闘のシーズンがやってきた。労働関連の資料などを読んでいて、メモっておきたいと思ったことを2、3記す。

①連合総合生活開発研究所が昨年12月に発表した「第20回 勤労者短観」。正確には「勤労者の仕事と暮らしについてのアンケート」調査報告書である。調査は昨年10月前半に実施された。昨年の政権交代と現在の政権についての評価をみると、政権交代が「良かった」39.3%、「良くなかった」38.7%と拮抗している。これを男女別にみると、男性は「良かった」39.3%、「良くなかった」42.7%なのに対し、女性は「良かった」39.4%、「良くなかった」32.7%と、肯定・否定の度合いが逆になっている。女性の方が民主党への政権交代を積極的に受け止めている。

 世帯年収別にみると、400万円未満の人は政権交代に対して「良かった」27.3%、「良くなかった」48.3%と否定的な見方をしている。半面、それよりも年収の高い人は肯定的で、例えば1200万円以上の人は「良かった」47.0%、「良くなかった」37.9%である。

 年齢別だと、政権交代への評価が目立って低いのは、20~29歳男性で、「良かった」33.3%、「良くなかった」50.5%である。30~39歳男性も「良かった」34.0%、「良くなかった」45.3%である。また、非正社員男性は「良かった」30.4%、「良くなかった」48.2%である。ちなみに正社員男性では「良かった」40.4%、「良くなかった」42.0%。

 女性では正社員は45.0%対26.5%と、「良かった」が「良くなかった」をかなり上回るが、非正社員だと34.1%対38.4%と、否定的な評価のほうが多い。

②全国労働組合生産性会議(全労生)が全労生および地方労働組合生産性会議に加盟している企業別労働組合を対象に2009年11月上旬~12月下旬に行なったアンケート調査の結果から(法政大学の梅崎修准教授の「特別報告」より)。労使交渉テーマの中で重視する度合いを点数評価したランキングをみると、1番が「賞与・一時金の改定」、2番が「労働安全・衛生への対応」、3番が「賃金制度の改定」、4番が「基本給の改定」‥‥。

 重視する度合いが最も低いのは、36番の「派遣社員・請負社員等の労働条件」、35番が「派遣社員・請負社員等の活用」、34番が「パート・アルバイト・契約社員等の労働条件」‥‥。非正規社員に関しての交渉は最も軽視されていることがはっきりと表れている。

③昨年、高い評価を受けた大竹文雄著『競争と公平感』は、非正規切りを問題とするなら、「非正規雇用への規制強化ではなく、正社員の既得権益にメスを入れることである。具体的には、正社員に与えられた強過ぎる解雇規制を緩和し、正社員と非正社員の間の雇用保障の差を小さくすることだ。たとえば、「非正規切り」が正社員自身の雇用調整や賃金カットにつながる仕組みを作ることも一つの方法である」と指摘している。

 正社員の解雇規制が強いため、景気変動のもとで、企業が正社員の雇用と賃金を守るためには非正規雇用をバッファー(調整弁)とするしかない。その点で「経団連と連合の利害が一致したのだ」と著者は言う。「しかし、長期的な企業経営という観点からみると特定の年齢層の人材が枯渇するという問題点をもたらし、世代によって不合理な格差を発生させることにもなる」、「この事態を放置すれば、貧困の固定化を通じ、将来多大な社会的コストを支払わねばならなくなるのは明らかだ」と言い切る。

 連合と民主党との蜜月関係は、組織率20%にも満たない労働組合(員)の利益を守るのにはよくても、残りの未組織労働者にはほとんど恩恵がない。①と②の調査結果からは大竹氏の指摘を含め、いろいろなことが見えてくる。 

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