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2011年1月17日 (月)

「食」を総合的視点でみるフォーラムから

 人間の根源的欲求は動物同様、食と性(繁殖)にある。16日に東京で開催されたKOSMOSフォーラムは『統合的視点で見る「食」とは』~人類は何を食べてきたか~で、歴史的、地理的、文化的などの多岐にわたる論点から食の問題をめぐって専門家が意見を述べ合った。ぶっ通し2時間半余、結構、興味深い内容だった。

 林良博氏(東京農業大学教授、山階鳥類研究所所長)は、脳の発達と歯の退行で人類の頭部、顔の形が変わってきたのを画像で示した。やわらかいものばかり食べているので、最近の若者には顎のエラが張った顔の人がいないなと実感した。21世紀の食で望ましいのは、①咬筋と下額骨を鍛える食事、②畜肉偏重をやめる、③他の生き物に配慮した食事にする、とのことだった。

 また、鯨類(イルカを含む)が捕食する魚の量は、人間が獲る量(漁獲高)の3~5倍に達するそうだ。鯨肉は畜肉と異なり、脂質がうんと少なくてヘルシーだという。肉食率の上昇は食料難を招くため、21世紀の大問題の一つ。だから、林氏は鯨肉をもっと食べるべきだとしている。

 石毛直道氏(国立民族学博物館名誉教授)は人間は料理する動物、共食(きょうしょく)する動物であると定義。料理で火を使うのは人類だけ。火を使うことにより食べられるものが飛躍的に増えた。人間は食事を家族と一緒に食べる、つまり共食する。限りある食べ物を分け合って食べる。そこから食事作法が成立したと語った。

 また、同氏は、人間は食料を生産する動物である。どんな動物もいずれ滅びるが、人類は地球の表面を食料確保のために変えてきたので、滅びるまでの時間がどんどん短くなっている。その時間を延ばすには、人口を減らすことである。経験則だが、豊かになったら、どこも人口が減る。したがって、日本は少子化対策をとっているが、日本国家のことよりも人類全体を考えるべきだ。貧しい国を援助し、そこの人口減を期待すべきだ、そして日本では生きがい、心の豊かさを優先せよと主張した。

 石毛氏の話で耳を傾けたのは、「何をたべているかで社会が変わることもある」として、挙げた事例である。コメ、麦などの穀物は軽い、運搬しやすい、それに蓄えやすいから、支配者たちは農作業をしなくてすむ。大きな国家をつくることが可能だ。ところが、南太平洋諸島では、穀物はつくっておらず、タロイモなどの根菜やバナナなどが主食である。これだと、重くて遠くに運びにくいし、傷みやすい。したがって、支配層によるピンハネが上に行くまで少しずつしかできない。結果として、小さな国家しか成立しなかったという。

 秋道智彌氏(総合地球環境学研究所副所長)が「日本人の食べ物文化は変わりやすいのではないか。クジラなどは若い人たちは知らない」と喚起。また「これからは胃で食べるのでなく、心で食べること」を求めた。一方、「いまは情報で食べることが多過ぎる。テレビの食べ物番組に従っていたら、生活習慣病になる。若い女性は母親から料理法を学んで引き継いでほしい」と注意を促した。

 今井通子氏(登山家)は「日本人はカネで買ってきて、おいしいところだけを食べている。途上国の人々は全部食べるし、そのために料理の工夫をする。日本はカネがなくなれば輸入することもできなくなる。私たちは日本のちょっと前の時代に食べてきたような高たんぱく、高栄養の食事に戻るべきだ」と訴えた。

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