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2011年2月 7日 (月)

中国がめざす情報統制『1984年』の世界

 最近の新聞記事で最も衝撃的だったのは日本経済新聞のコラム記事「中外時評」の「新華社の膨張どこまで 国家メディア戦略の先兵」(2月6日付け)である。筆者は論説委員の飯野克彦氏である。

 中国の国営通信社、新華社が、中国最大かつ世界で最大の契約者を持つ携帯電話会社、中国移動と組んで国家級の検索エンジンの開発に当たるという。中国政府が情報の安全保障を確立するために取り組んでいるもので、「5億を超える契約者を抱える中国移動のインフラにさりげなく情報統制の手段を埋め込む」ことが目的である。

 中国政府は09年に同国内で販売するパソコンに独自の情報フィルタリングソフトの搭載を義務付けようとした。外国メーカーなどの反対が強く、引っ込めたが、その後も中国政府の情報統制の姿勢は変わらず、今度は検索エンジンなどのシステムに情報統制のプログラムを埋め込む仕組みの実現をめざしているというわけだ。

 サイバー空間は設計次第では人類がみたこともないほど規制しやすい場所になる(ローレンス・レッシグ・ハーバード大学教授)という警告を引用した飯野氏は、ジョージ・オーウェルの小説『1984年』が発した警告はむしろ真実味を帯びてきたと言っている。

 エジプトなど中東の政治不安の背景には、ネットの活用があると言われる。しかし、中国はネットに対しても厳しい情報統制を敷いており、民主主義や言論の自由などというものを一切認めない。小説『1984年』に出てくる全体主義国家オセアニアは思想、言語などを統制し、市民のほぼすべての行動を監視するが、中国はそれに近い国である。しかも、日の出の勢いで、途上国などに中国の諸システムを輸出している。飯野氏は「中国流の情報統制システムが他の国々に普及していく可能性も見えてくる」とすら言い切る。

 中国はさまざまな矛盾を抱えており、共産党の独裁を維持するためには、何でもする可能性がある。13億の民を統治するには、『1984年』の描く国家を平気で指向するのではないか。我々の未来を考えるとき、そうした中国の恐ろしい情報統制の傘を断固としてはねのけるようにいまから他の民主主義国家とともに万全の備えをしなければならない。

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