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2011年2月14日 (月)

「できるだけ面倒みてもらわなくてすむように自ら暮らす」に共感

 大森彌東大名誉教授といえば、地域行政の専門家だが、最近、厚生労働大臣の諮問機関である社会保障審議会の会長に就任することが決まったばかり。社会保障についても詳しい。ネットサーフィンしていたら、その大森氏が2008年10月に盛岡市渋民文化会館で「「地域自治」の可能性」と題して講演した内容を読むことができた。共感するところが多かった。それを紹介する。

 「後期高齢者と言われた高齢者が怒っているのだそうでして、何怒っているのですかね。後期と言われて怒っている高齢者に私は怒っているのです」、「何か姥捨て山の扱いを受けると怒っているようですけれども、そんなことはありません。後期高齢者に求められていることは二つだと思います。一つは健康であり続ける努力をすること。健康寿命を延ばすこと。できるだけ病院に行かないこと。‥(中略)‥後期高齢者はできるだけ医療費を高めないですむ暮らし方をして、若い世代の負担を減らす努力をする。」

 「本人にとっても、社会にとっても、医者にもかからない、介護サービスも受けなくてもいい、元気で頑張っている高齢者が一人でも多い地域をつくり出すことが望ましい」、「それはどうしたらできるかといったら、簡単」、「高齢者が地域に出ていって、楽しいさまざまな、しかも有意義な活動をする。そういう地域はみんな平均寿命が長い」、「もう一つ、高齢者がやるべきことは、次にやってくる若い世代のために、つまり世のため、人のために尽くして死ぬことなのです。人から何かやってもらおうとするのではなく、地域のために何かやって死のうと。」

 高齢者は死後に発効する遺言状を必ず書くこと。その中に「全体とすれば、いい人生を送ることができたので、地域におカネを寄付すると書くこと」。もう一つ、生前に発効する遺言状も必要。「倒れても生命維持装置を拒否すると書いておく」。そうしておかないと、家族などに迷惑をかけるし、病院で死ぬことになるからだ。

 「できるだけ人から面倒見てもらわなくても済むように自ら暮らし続けて、できればほかの人のために尽くして死んでいく。そうすれば、高齢社会の問題はそんなに難しい問題ではない」、「高齢者がみんなだれからも面倒見てもらうようになったら、どうしようもない社会になる。」

 「本当の優しさというのは、普通に考えたら意地悪いぐらいでなければ」。みんなが優しくしてしまうと、「その人の持っている力は弱まり、失われていく。それが優しさだと思っているのは大間違いなのです。そのことが人間をだめにしていくのです。」

 福祉、医療などについて「私ども今までやってきたことが本当に人間を大事にするやり方かどうかについては考え直してみる必要があるのではないかと思っています。」

 大森氏の話は、「かわいそう」な人たちを助けるために政府などがやたらカネを出そうとする風潮にも当てはまるように思う。誰も声をかけてくれないから死にたいなどという若者の甘えに対し、かわいそうに、と反応するのも同様だ。どちらも人間をだめにするのではないかと思う。

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