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2011年2月 9日 (水)

身延線の旅から

 東京から東海道線で富士駅(静岡県)まで行き、身延線(富士~甲府)を経て、中央線で東京に帰る小旅行をしてきた。切符は「東京都区内―東京都区内」である。

 昼前に着いた富士駅の周辺は、土曜日だったが、ほとんど人が通っていない。タクシーも人待ち顔。飲食店中心の商店街はまるで眠っているようだった。かつては大手スーパーの店があったが、それもなくなっている。弁当や果物を買うつもりだったが、そうした店がないのであきらめた。

 全国あちこちでみられる現象である。スーパーが商店街の一角に開店し、そのあおりで地元の商店が次々に閉店に追い込まれる。そして、次に、バラエティーの薄れた商店街には人が段々来なくなる。スーパーもやっていけなくなり、閉店する。富士市の場合、新幹線の駅が在来線と離れており、新幹線の駅周辺も閑散としている。人の集まる繁華街がなくなってしまったのである。製紙業が元気がないなど産業の後退もその背景にある。

 お隣りの富士宮市はB級グルメの富士宮やきそばで街が再生した。渡辺英彦氏が中心となって富士宮やきそば学会を設立したのは2000年11月29日。それから10年経った現在、B級グルメでは最も名が通っており、地元経済は相当に活性化した。

 富士宮やきそば学会をつくって間もない頃に、渡辺氏の話を聞いたことがある。富士山に依存し、停滞している富士宮市の経済をどうやって活性化するか。そこで、材料や味付けで独特の地元やきそばに着目し、それを売り出そうと考えたという。しかし、損害保険セールスを仕事にする渡辺氏のそうした呼び掛けに対し、地元の焼きそば店は素人が何を言うか、と冷たかった。にもかかわらず、渡辺氏の熱意と、おやじギャグを連発し、ユニークな発想で繰り出すさまざまな仕掛けとが徐々に賛同者を増やしていったのである。

 身延線の終点、甲府(山梨県)の地元料理である鳥もつ煮は、昨年9月、厚木で開催されたB級グルメの祭典(第5回)でゴールド・グランプリをもらった。「みなさまの縁をとりもつ隊 甲府鳥もつ煮」である。ちなみに富士宮やきそばは06年、07年の第1回、第2回祭典でゴールド・グランプリを獲得した。

 B級グルメとは「安くて旨くて地元の人に愛されている地域の名物料理や郷土料理」とされている。甲府で食べてみた鳥もつ煮丼は900円で、残念ながら「安くて旨くて‥‥」とは感じなかった。鳥もつ煮だけだと500円である。子供の頃、家でときどき鶏をつぶして食べた記憶があるし、社会人になってから、焼き鳥をさかなに呑んだから、安くて当たり前と思うのかもしれない。

 身延線には日蓮上人が開祖の日蓮宗、身延山久遠寺がある。身延山の頂上には寺の奥の院思親閣がひっそりと立っている。魁皇関が来て節分の豆まきが行なわれた日のあとに訪れたから、参拝客はほとんどいなかったし、寺も参道の商店もひっそりとしていた。有名なしだれ桜が花開く頃までは、静かな日々が続くのだろう。

 久遠寺は三門を過ぎると287段の石段がある。上り切ったところに大本堂などの建物がある。上がるのも下りるのも高齢者には相当しんどいが、それでも、急こう配の高い石段を見ると、なぜか、頑張って一歩一歩のぼろうという気にさせられる。今回が二度目の訪問だったが、また、いつか来てみたいという気になった。

 ところで、身延山頂上からは富士山がみえた。富士駅を出てからしばらくは富士山が電車の右に見えたり、不思議なことに左に見えたりした。そのうち、富士山の姿は見えなくなり、あと電車からは甲府までずっと見ることはなかった。富士山の周りを身延線が走っているので、ずっと車窓から富士の姿を眺められると期待していたのに。

 日常から離れ、都会の喧騒とは無縁。ローカル線の電車の旅は楽しい。 

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