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2011年3月 9日 (水)

年金救済問題で見落とされている問題

 専業主婦の年金届け出漏れ問題で、細川厚生労働大臣が野党の槍玉にあがっている。新たな政局の焦点になっているが、ここでは、見落とされている論点を挙げる。

 まず、混乱のもとになった課長通知だが、これは十数年前、官僚支配が問題にされたときに、今後はやらないということになった「通達行政」そのものである。法律に基づかない通達をあたかも法律と同等に扱うことはやめになったはずだ。法律の改正に基づいて制度を変えるというのが基本である。長妻前厚労相が決めたという救済策は裁量行政そのものであり、まさに民主党の掲げる政治主導とは正反対である。

 民主党政権になってより顕著になった一つが大盤ぶるまいである。一般論を言えば、困っている人を助けるのはいいことだ。しかし、政治は、いまの国家予算関連の審議もそうだが、公正性や財源の確保などを十分に考慮して決めていく必要がある。困っている人がいるからといって、刹那的に救済策を講ずるのは好ましくない。安易にカネをばらまくと、国民の自主・自立の精神が弱くなる。

 福祉や社会保障を担う厚生労働省、中でも旧厚生省の官僚は、財源や国民負担、あるいは効率性をほとんど考慮しない。社会保障の歳出が猛烈な勢いで増えているが、その中にあるムダを真剣に取り除こうという発想は彼らにはほとんどない。今回、問題になった救済策は、そうした民主党および同省の構造的な欠陥が重なり合って出てきたものと言えよう。

 いま一つ、今度の問題で指摘しておくべきことは、厚生労働省の所管の範囲があまりにも広いことである。とてもではないが、大臣一人が全体を絶えず把握するのは絶対に無理である。長妻前厚労相は年金問題を得意としていたが、労働の分野は全くしろうとで、官僚の言うがままだった。いまの細川大臣は労働分野に詳しいが、厚生分野はとんと素人である。厚労省の所管および予算のあまりの大きさを放置していては、今後も似たような問題が起きよう。政治主導を言うのなら、厚生省と労働省の二つに分けるのがいい。

 そして、民主党は政治主導を現実のものにするために、シャドー・キャビネット(影の内閣)のように、各行政分野ごとに専門家的な政治家を育成する必要がある。それとともに、党の綱領を定め、どういう国にしたいか、を国民に明示しなければいけない。今はそれがないから、国民は政治のゆくえに不安を強めているのである。 

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