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2011年4月 7日 (木)

地震、津波、原発危機、風評被害

 衆議院議員の吉野正芳氏(福島県、自民党)が6日の記者会見で風評被害を第4の被害と呼び、いわき市がそれでひどい目に遭っていると語った。いわきナンバーのトラックは入ってくるなとよそで追い返されたり、いわき市で縫製した服は買わないと言われて縫製会社が解散したとか、自動車解体業者が鉄スクラップは放射線量を検査したものでないと買わないといわれたりしたとか、いくつか被害例を挙げた。

 日本は原発大国(?)だし、国民の教育レベルが高いので、放射能汚染に関する理解度はもう少し高いと思っていたが、そうではなかった。

 これでは、外国が放射能被曝を懸念し、日本からの食品等の輸入を規制する動きに出ても、反論はできない。もしも輸出で外貨をかせぐこともままならないとなったら、日本経済は順調に回らなくなるだろう。直近の円安傾向を輸出産業にプラスと受け取るのは誤りで、日本の輸出にかかる暗雲を反映していると解釈すべきかもしれない。そうだとすれば、容易ならぬ事態である。

 数日前に増子輝彦参議院議員(福島県、民主党)が会見したときもそうだったが、吉野氏も政治の強いリーダーシップが欠如している点を強調した。菅政権はやたら○○会議とやらをつくり、指令塔がどこにあるのかがはっきりしない。それに官僚も振り回されている。しかも大臣ら政務3役の中にも基本的な知識すら欠いている不適格者がいるようだ。こうなってくると、人災である。

 予算関連法案や補正予算の問題があり、大連立の構想が報じられているが、いかにも動きがのろい。菅首相も民主党議員も、まだ自らの保身、政権の座に居続けることが先に立っているようにみえる。国のため、国民のためには自分はどうなってもいい、という覚悟があるとは思えないのである。

 原発の危機がどういう結末を見るのか。国民はどういう可能性があるのか知らされていない。また、避難所暮らしの被災者はいつ、元の暮らしに戻れるかなどの展望が見えないことに不安を抱いている。それらに対して、菅首相らはきちんと説明し、安心してもらうまで手立てを尽くすべきである。そして、がれき除去や道路の復興など緊急的なインフラ整備は当然として、中長期にわたる日本再生のデザインを1日も早く国民に示していく必要がある。

 小宮山宏三菱総合研究所理事長らが6日、『日本の地域「新生」ビジョン』を発表、菅首相にも直接、説明した。日本の抱える諸課題や限界を白日のもとにさらす結果となった大震災を教訓に、「私たちの固定観念や社会の仕組みを大きく変えなければ、快適で希望の持てる新しい地域を復興し、創り上げていくことが難しい」という基本的なスタンスは正しい。

 記者会見で、小宮山氏は昨年、「プラチナ構想ネットワーク」で打ち出した内容をビジョンに生かしたと述べた。地球温暖化、高齢化、および需要不足とデフレの3つの難問を、日本のすぐれた技術・サービス制度を組み合わせて解決し、それを通じて新産業と雇用を創造する。それを世界に先駆けて実現すれば、日本は課題解決先進国となるというものだ。法制度のような各論にまでは立ちいたっていないが、こうしたビジョン、提案を各分野から提案していく先駆けとして評価したい。

 バブル崩壊後の20年、日本経済は低迷を続けてきた。デフレ脱却のめどもつかず、民主党政権のもとで財政危機に拍車がかかっている。そこに大震災が襲い、原発破壊まで起き、計画停電も始まった。そうした一連の苦難に直面して、これらを単なる偶然とは思わない国民が少なからずいるのではないだろうか。そして、ここから立ち上がり再生できるか否か、日本の興亡いずれかの大きな分かれ目である。

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