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2011年4月 2日 (土)

地震短期予知の研究

 新聞社で働いていたころ、科学技術担当の記者から、地震の予知は不可能だという話を聞いた。数日中に起きる可能性が高いとか、1ヵ月以内に‥‥とかといった短期の予知は現在の科学技術では無理だということだった。だから、防災、減災が重要だと言われた。今回の大震災に遭ったときも、現代の科学技術ではやっぱり予知はできないのだなと自分で納得していた。

 しかし、東日本大地震の前日に発売になった雑誌「中央公論」4月号に「どうする! 日本の地震予知」という上田誠也東大名誉教授の論文が載っている。副題に「実現可能なのに、なぜ政府は目を背けるのか」とある。今回の地震・津波のあとで、この論文を読んで、実は短期の予知可能性が現実味を帯びてきていることを知った。

 上田論文によれば、いつ、どこで、どの大きさの地震が起きるか、を予知するには、前兆現象を徹底的に研究し、それを実際に検知しなければならない。それには、大地に蓄積する歪みの増大を監視するのが正道だという。ギリシャでは、電磁気的前兆をもとにした短期予知の方法を創始し、予知の成果があがっているという。

 わが国では従来、地震観測に多大な予算と人員とを投入しているが、短期予知については東海地震を対象としているだけ。したがって、それ以外は、いくら観測に力を入れても、予知にはつながらない。このため、同論文は観測のための予算および人員の1%でも短期予知に投じたらどうか、と提案している。「学問的には短期予知は射程内にある‥‥」と述べる上田氏は2、3の大学に地震予知部門を創設するよう提案している。

 同論文によると、日本の地震学会の代議員会では、地震予知の研究予算を国に求めようとの会員からの提言に対し、猛反対の発言が圧倒的だったと記している。国が、短期予測は不可能との方針をすでに打ち出していたからのようだが、上田論文によれば、米国が不可能と判断しているのを別にして、ロシア、中国、ギリシャ、イタリア、フランスなどは短期予知の研究をしている。そうだとすると、日本の学界は、学問・研究の目的や意義をはき違えているのかな、と思ったりもする。

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