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2011年5月31日 (火)

ドイツ以上に速い? 日本の脱原発

 佐賀県の古川康知事が30日、日本記者クラブで会見し、原発を抱える県の知事の苦悩を吐露した。彼が用意した資料のうち「このままでは、次々と原子力発電所が止まっていくことになる。」と題したグラフが目をひいた。

 「原発の定期検査により、原発の発電電力量は減少していくことになる」と指摘。具体的にはことし5月は、認可出力が1724.7万kWだが、月を経るごとに少なくなり、来年3月には175.4万kWになるという。これは、私の理解では、日本中で稼働している原発が、1年弱のうちに約2基になってしまうということである。日本にある原発は全部で54基だが、そのうち52基程度は止まったままということになる。これは事実上の脱原発ではないか。

 ドイツの連立与党は30日、17基ある原発を順次止めていき、遅くとも2022年までに国内の原発による発電をゼロにする脱原発を実現することで合意した。同国も、福島原発の事故を機に一時停止した運転開始後30年以上の原発7基は、原則として運転再開は認めないなど、およそ半数の脱原発を実現している。ドイツもすごいが、私見では、日本はなしくずし的ながら、ドイツよりもはるかに早く脱原発を達成することになる。その理由を以下に。

 日本の原発がたくさん止まっている理由の1つは、毎年、定期検査を実施しなければならないことである。期間は3カ月といわれるが、実績はそれよりもはるかに長い。すなわち、約1年運転してから検査のため休止するが、その期間は短くて3カ月、長いと1年半ぐらいにもなる。

 第2に、電力会社は運転再開ができる状態にスタンバイしても、政府や地元自治体からOKがなかなか出ない。事故の類いの情報が公けになると、政府も自治体も、ほとぼりがさめるまで運転再開を認めない。

 電力会社はそうした状況がよくわかるので、事故情報などをひた隠しに隠そうとする。それがまた政府や地元の心証を悪くし、運転再開をなかなか認めない。そういう悪循環も働いている。

 古川知事が示した「全国の原子力発電所の運転状況」によると、5月24日現在、日本で運転中の原発は19基、停止中は35基となっている。そして、運転中の19基は確実におよそ1年以内にすべて定期検査のために停止する。では、停止中の35基は運転再開できるのか。福島第一原発1~4号機は廃炉が決まっている。

 残る31基の中には、定期検査をほぼ終えて、いつでも運転開始できるものがいくつかあるが、地元自治体は、津波対策を実施すれば安全なのか、福島原発は地震で損傷したのではないか、などの疑問を抱いている。そうした疑問があるため、地域住民の意向も考慮する必要がある。というわけで、自治体のほうは、浜岡原発以外は大丈夫という政府の考えには納得していない。したがって、定期検査で止まっている原発の再開はきわめて難しい。そうであれば、日本の脱原発は1年ぐらいで実現する。

 電源別の発電割合をみると、原発が29%を占める。新エネルギー等は1%にすぎない。それで原発が事実上ゼロになったら、節約などを考慮しても、供給力が不足する可能性が大きい。では、どうするのか。原発を動かして電気を供給してほしい、という住民の声が強くなるまで、自治体としては運開にOKを出しにくいだろう。古川知事の話を聞いて、以上のようなことを思った。 

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