« 藻谷浩介氏のすぐれた視角 | トップページ | 読んでもよくわからない介護保険事業報告 »

2011年6月30日 (木)

日本企業の役員報酬は高いのか、低いのか

 日産自動車のカルロス・ゴーン社長は前3月期に受け取った役員報酬が約9億8千万円だったそうだ。日本企業の中では最高額らしい。2位はソニーのハワード・ストリンガー会長兼社長らしい。約8億6千万円である。2人とも外国人トップだ。一方、日本一の大企業、トヨタ自動車の豊田章男社長は1億3千万円余である。

 この違いは何か。ゴーン氏は「日産は世界から人材を集めており、報酬も世界基準で決める」と述べている。それを真に受けると、トヨタなどは日本人だけで経営しているから、日本国内でしか通用しない基準で役員報酬を決めていることになる。

 おもしろいケースは資生堂だ。カーステン・フィッシャー専務は4億4千万円余で、社長や副社長(7千万円余)の何倍もの報酬だ。彼の場合、成果主義を取り込んでいて、他の役員とは異なる報酬体系だ。明治のころのお雇い外国人と似ているような気もする。

 日本板硝子、オリンパスなどもそうだが、外国人が経営トップに就く会社はまだ少数である。だが、増える傾向にある。前3月期から、大企業は1億円以上の役員報酬を受け取った人の名前を開示するように義務付けられたが、ねたみ社会の日本で、沢山の役員報酬をもらうことをどう考えたらいいのだろうか。

 一方、日立製作所は世界中の社員を共通の人事評価体系でとらえ、同じ評価の社員は同じ処遇をするとの方針を決定し、実施に着手した。また、野村証券が欧米のインベストメントバンクを買収し、そこの社員の報酬体系を引き継いで、社員の“流出”を防いだということもあった。そして、同社は、最近、日本国内の日本人社員の報酬体系を2本立てにし、成功報酬中心の給与体系をも選択できるようにした。ゆっくりとだが、日本の企業社会に、欧米流の「できる人にはたくさん払う」という実力主義が広がり始めたのではないか。

 定期昇給という発想がまだ強く残っているように、戦後の日本では年功的な昇進が当たり前だった。したがって、経営トップになった途端に、従来とかけ離れた巨額の報酬を得るということにはならなかった。また、日本人経営者の多くも、それを当り前と思っていた。

 しかし、グローバル化に伴い、世界をまたにかけた経営ができる能力がトップに求められるようになった。日本人幹部の中にふさわしい人がいなければ、望ましい人物をヘッドハントしてくるしかない。日産がゴーン社長に来てもらった裏には、日産のカルチャー(社風)にどっぷりつかった人がトップでは、会社の思い切った改革ができないという事情があった。厳しい国際競争を生き抜くためには、ふさわしい人物を内外から見つけ出すのは当たり前だ。

 野球などの世界では1億円以上を稼ぐ個人はざらにいる。たくさん稼ぐほど、国民は評価する。しかし、企業の経営者の報酬となると、ビッグビジネスであろうと、国民は「高過ぎる」という反応だ。戦後の年功序列が頭にしみ込んでいるからである。一方で、ソフトバンクやファーストリテイリングのような創業者トップが多額の報酬を得ることを当然視する。

 これは、日本人だけで経営するビッグビジネスの多くが「おみこし経営」にすぎないのを経験的に知っているからだろう。そうした企業の経営者はかなり年をとっている。40代の経営トップがざらにいる欧米の大企業に、日本のビッグビジネスが事業革新の面で後れを取るわけだ。

 いま、日本企業はグローバルな展開をする上で、すぐれたリーダーシップを発揮できる経営者を必要としている。それには、内部昇格に限定せず、世界からふさわしい人を見つけ、引っ張ってくるぐらいでないといけない。日本人だけの取締役会、役員選考委員会を改めるところから始めよう。 

|

« 藻谷浩介氏のすぐれた視角 | トップページ | 読んでもよくわからない介護保険事業報告 »

コメント

アフォすぎて話にならない。
日本的経営が間違っていて、世界のトップの経営者の手腕が優れていると言いたいようだが、いま不況に対してしっかり健全に生き残っているのが日本的経営なんだよ。経営者が質素にすれば、皆も同じようにして考える。経営者が高額な金額をもらっている会社は、じき衰退する。
カルロスゴーンが優れているのではなく、公務員的発想の旧日産経営者に問題があっただけ。セブン&アイホールディングスの経営者はダメだった言うのかな?スズキ自動車の会長はダメなのか?それよりも今危ういのは、ウォ−ル街の経営者どもだろう!単に世界の一部のことを都合よくとらえるより、海外からみた日本のやり方を検証してみてはいかがですか。
まんざら日本的経営は捨てたものではありません。

投稿: ZIGGY | 2012年6月28日 (木) 17時03分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/184848/52078534

この記事へのトラックバック一覧です: 日本企業の役員報酬は高いのか、低いのか:

» 決定版!日経225先物必勝法 元証券ディーラーが手法を公開 ソフト・サポート付き 日経先物 225先物 先物投資 [決定版!日経225先物必勝法 元証券ディーラーが手法を公開 ソフト・サポート付き 日経先物 225先物 先物投資]
決定版!日経225先物必勝法 元証券ディーラーが手法を公開 ソフト・サポート付き 日経先物 225 [続きを読む]

受信: 2011年6月30日 (木) 07時00分

« 藻谷浩介氏のすぐれた視角 | トップページ | 読んでもよくわからない介護保険事業報告 »