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2011年6月29日 (水)

藻谷浩介氏のすぐれた視角

 『デフレの正体』の著者である藻谷浩介氏(日本政策投資銀行地域振興グループ参事役)が28日、日本記者クラブで会見した。全国津々浦々を自らの足で見て回り、地域の専門家として有名な人なので、政府の東日本大震災復興構想会議検討部会の専門委員として重要視されたようだ。

 藻谷氏は結構、早口で、しかもマイクの音がひずんでいたので、聞き取れないこともあったが、啓発される発言がいくつもあった。聞き間違いがあるかもしれないが、それらの一部を私なりの解釈で紹介すると――

・3.11から1ヵ月後までの調査で、津波以外の原因で亡くなった人は96人にすぎない。震度7以上の地域もあったが、地震に対しては相当、免災構造(カラミティプルーフ)ができている。

・市町村によって復興の早い遅いがある。1つには、地方分権で、市町村に任せているからだ。新聞によっては、中央集権のほうが復旧が早いと書いたところがあるが、それは中央集権に戻せということか。

・少子高齢化の日本は人口が減っていく。被災地も同様。復興を考える際、そうしたトレンドをもとに50年、100年先までのヴィジョンをつくり、国土利用のありかたを変えていくべきだ。「近代化以前に沼沢地や山林だったところは100年かけて田園や林野に戻していく」のがいい。

・三陸沿岸では原状の完全回復ではなく、産業と生活の再建をめざすべきだ。「産業施設は平地に、生活施設は高台にコンパクトに再建」を。ただし、高台の土地は地主から借りて、一定年限後、例えば10年後に返すようにするのがいい。

・いずれ来る首都圏直下型地震や関東ー東海ー東南海ー南海地震に備え、「東海道のバックアップ交通路整備が急務」と言う。鉄道、幹線道路のいずれにもだ。首都圏から他の大都市圏への機能分散も求めている。

・ルネサスエレクトロニクスの工場が壊れ、サプライチェーンが途切れた。世界的に必要不可欠な製品だというのに、同社は5期連続して赤字だという。それはおかしい。もっと高く売ることができないのか。

・(若者の所得増をはかるには?)これまで給与と企業の売り値とが下がってきている。この傾向を改めるには、売り値を少し上げ、給与を少し上げ、を繰り返していくのがいい。高付加価値製品を売っているのだから。

・原発問題については他に専門家がたくさんいる。私が答えることではない。ただ、まず省エネを求めたい。生産年齢人口が減っていくのだから、戦後やってきた、エネルギー供給を増やすという発想は駄目だ。

・中国は原発も石炭火力も沢山増える。いまや大阪以西は黄砂が日常的だが、今後、長崎あたりは中国の影響で大気汚染がひどくなる。日本国はクリーンエネルギーに転換しても、大気はクリーンにならない。

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