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2011年6月18日 (土)

消費税を段階的に15%へと勧めるIMFスタッフの文書

 最近、IMFのスタッフ・ディスカッション・ノートが公表になった。「日本における消費税の引き上げ:なぜ、いつ、どのように?」である。

 それによると、財政危機の打開策として、GDPの約10%に相当するプライマリーバランスの思い切った改善を行なえば、5年以内に公的債務のGDP比を安定、かつ低下の方向に向けると示唆している。そのためには、消費税をいまの5%から段階的、かつ持続的に、15%まで引き上げる。この消費税引き上げによって、財政正常化の半分をまかなうことができる。残り半分は、社会保障中心に歳出を抑制する改革と、個人所得税の課税ベース拡大でまかなうことができる、という。

 日本は国際的に見ると、消費税率が際立って低い。しかも他の税目を引き上げるのに比べ消費税アップは経済成長の足を引っ張らない。将来にわたる消費税率引き上げの予定表を明らかにすれば、一時的にはインフレ期待を強めるが、消費支出を増やすことにもなる。また、生活基礎物資・サービスへの軽減税率を設けたりせず、消費税率は一律とし、貧困家庭には所得移転するというほうが制度として効率的であるという。

 日本政府は、「税と社会保障の一体改革」において、消費税収をもっぱら社会保障に充てる、という考え方をとっている。これに対し、このディスカッション・ノートは、消費税=社会保障財源とみなすのは、支出効率を改善するインセンティブをなくすとして、原則的に非効率ないし不透明だと問題視している。

 いま、消費税の20%は地方自治体に自動的に配分されている。これについても、ディスカッション・ノートは、中央政府のほうが財政状態が悪いのだから、消費税率を上げたとき、地方自治体に自動的に配分すべきではない、としている。

 日本政府の「税と社会保障の一体改革」は、主に、高齢化で年々増え続ける社会保障関係費をどうやってまかなうかという観点で議論されており、消費税率をいまの5%から10%へ引き上げるという内容である。このため、財政赤字が膨張し続け、財政破綻の危機が迫っているという問題意識は乏しいと言わざるをえない。ディスカッション・ノートとの違いははっきりしている。

 このディスカッション・ノートはIMFの公式見解ではない。研究スタッフの議論をまとめたものだと注記してある。とはいえ、欧米から日本の財政がどう見えるか、が示されているのではなかろうか。

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