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2011年7月24日 (日)

復旧・復興といえども財政再建と両にらみで

 政府が7月22日に発表した「2011年度の年次経済財政報告」は、「震災復興の財政対応は中期的な健全化と整合的に」を求めている。「財政健全化は喫緊の課題で、震災の復旧・復興対応と中期的な健全化のフレームは両立させる必要がある」とも言っている。

 その記事が載った7月22日の日本経済新聞夕刊1面のトップは、EUのユーロ圏17ヵ国首脳会議で、財政危機に陥ったギリシャに第2次金融支援として総額1600億ユーロ(18兆円)程度を供与することで合意したという記事である。といっても、それでユーロが抱える本質的な問題点の解決になるわけではない。アイルランド、ポルトガル、イタリアなども借金財政のつけがユーロを揺さぶるものとみられる。

 また、米国では、連邦政府の債務上限引き上げをめぐる民主党と共和党の協議が難航して、オバマ政権はデフォルト(債務不履行)や国債の格付け引き下げ懸念に直面している。

 このように、自由主義経済圏の主要メンバーである米・EU・日本の3者いずれもが、形は違えども、国家の借金累積がもたらす危機にあえいでいる。個人がローンで消費の先食いをしているのと似たように、国家もまた経済の安定や社会保障の充実などの歳出を優先し、国債などの公的債務を積み上げてきた。世界はリーマンショックが発端となった世界経済危機の真っただ中にある。

 そうした厳しい認識を民主党政権は持っているのだろうか。日本政府が21日にまとめた大震災の復興基本方針骨子は事業規模を10年間で23兆円とした。当初の5年間を集中復興期間とし、全体の8割に相当する19兆円を投入するという。政府が23兆円を打ち出したのは阪神淡路大震災(11.6兆円)の約2倍という大ざっぱな計算による。しかし、先頃、このブログで原田泰氏の意見を紹介したように、阪神淡路大震災は公費の投入が多過ぎた。無駄遣いが多かった。

 そうした指摘を無視して、大盤振る舞いをするのは許されることではない。復旧・復興のいずれも、将来の望ましい姿からみて、どうするか、を考え、実行することが求められる。

 「東洋経済」7月23日号で、里見進東北大学病院長は東日本大震災の経験から、次のような提言をしている。第1に、ITによる遠隔診療システムを導入すること。第2に、沿岸部の診療所には医師を常駐させること。そのために、医師の巡回型派遣システムをつくり、半年程度ごとに交代する。第3に、被災した病院の病床の多くは慢性期の患者が占めていたのを踏まえ、復興は主として介護施設や老人保健施設をつくること。そのほうが地域のニーズに合う。医療等の集約化を進めると、救急搬送が課題になる。これは、交通網整備による搬送スピードの上昇に期待する、と。

 さまざまな分野で、このように、歳出のムダを抑え、かつ未来を見据えた復興構想が提示され、現実化することを切に望む。

 財政危機が深刻化しているので、政府・民主党は復旧・復興費用および社会保障費用を増税で賄うしかない。にもかかわらず、具体的な増税プランをはっきりと国民に伝えるのに及び腰だ。また、エコノミスト(?)の多くは、増税の景気に及ぼすマイナス面を強調している。しかし、大震災の復興や社会保障の持続には増税が必要なことを、国民の多くが理解している。国民はバカではない。政治家は国民をバカ扱いしないで、苦い良薬である将来ビジョンを明示すべきだろう。

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