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2011年7月 3日 (日)

読んでもよくわからない介護保険事業報告

 厚生労働省が6月末に「平成21年度介護保険事業状況報告(年報)」を発表した。報告書の概要に目を通したが、よくわからないことばかり、それに疑問が次々に出てきた。専門家しか読まないと思い込んでいるのか、専門家にわかればいいというつもりなのか。記述はそっけない。しかし、関わりがある高齢者の1人として、報告書や制度の仕組みについて知りたい。以下は発表資料や解説本などでわかったことである。

 一般に言う保険というのは、偶発的な事故に備えて、皆で予め一定の掛け金(保険料)を積み立て、事故が起きたとき、事故に遭った人に一定の金額(保険金)を払うという制度と理解する。ところが、介護保険では、個人の掛け金、つまり積み立ての合計は介護サービスという給付(保険金に相当する)の45%程度。国、都道府県、市町村が合計でやはり45%程度拠出している。

 掛け金(保険料)は、65歳以上の高齢者の多くが年金から天引きされ、市町村に納められる。40歳以上65歳未満は、会社負担(2分の1)と一緒に医療保険の保険料に上乗せして社会保険診療報酬支払基金に納付。そこから保険者である市町村ごとの介護保険勘定に交付される。

 そして、高齢者が介護サービスという給付を受ける事態になったとき、サービス料金の10%を個人が負担する。

 以上のように、一般に言う保険と違い、国・地方自治体が深く関わっているので、保険料と保険金との対応が判然としない。第1号保険者(65歳以上)と第2号保険者(40歳~64歳)とを合わせると約7000万人。そのうち、要介護(要支援)認定者は2009年度末で485万人。給付費6兆8800億円を認定者1人あたりにすると、約142万円となる。給付単価が小さい要支援1、要支援2合わせて認定者の26%だから、要介護(1~5)認定者だけだと、平均1人あたりの給付は年間200万円を相当超えるのではないか。認定者であっても、介護サービスを受けていない人もいるから、現実には、もう少し額が多いかもしれない。

 一方、利用者の10%自己負担の合計が多いとき、一定額以上は払わないでもいい仕組み(高額介護サービス費など)もある。高額介護サービス費の制度では、一般世帯の支払いは月に3.72万円までの負担である。

 介護保険法は、もっぱら給付のほうをズラズラ書いていて、保険料の話はやっと129条になってから。しかも保険料の収納額は1兆3800億円と、直接、市町村に納められた分だけを取り上げている。本来、保険制度を考えれば、サラリーマンが医療保険料に上乗せして納めたはずの介護保険料を合算すべきだが、そうしていない。

 介護保険特別会計経理状況(保険事業勘定・全国計)では、歳入として、保険料、国庫支出金、(社会保険診療報酬)支払基金交付金、都道府県支出金、繰入金などが主なものとしてある。歳出の主なものは保険給付費である。こうした決算書をいくら見ていても、介護保険の実態が明らかにならない。

 説明責任という言葉が一時はやったが、介護保険なるものの実態を厚生労働省はわかりやすく説明する努力を怠っている。

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