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2011年7月15日 (金)

復興費用はなぜ巨額?

 原田泰氏の時事経済分析はデータに即していて、しばしば目からうろこが落ちるような思いがする。最近、読んだ『中央公論』8月号の「震災復興も人口減少も「効率化」で解決せよ」と題する論文は、復興費用はなぜ巨額なのか、を追究し、とても勉強になった。

 原発関係を除いた東日本大震災の被害額は、同論文によると、公的部門が3.2兆円、民間が2.5兆円だという。公的部門は財政で元通りにするのが当たり前だが、民間部門を全部、財政で面倒みる必要はない。仮に5分の3を財政が負担するとしたら、3.2兆円+1.5兆円で計4.7兆円となる。それだけのカネを公費で出せば復興できるのではないかという。ただし、原田氏は珍しく(?)謙虚に、「この試算が間違っているかもしれない」として、2倍の9.4兆円にしたら足りるだろうと書いている。

 ところで、復興予算の総額は20兆円程度になるといわれている。原田氏の分析からすると、明らかに多過ぎる。これは興味深い問題提起ではないか。

 同論文によれば、この約20兆円を被災者約50万人で割ると、1人あたり約4千万円になる。ところで、東北3県の物的資産は57兆円で、人口が571万人だから、1人あたり1千万円の物的資産しかない計算になる。平均1人1千万円しか持っていなかった物的資産が失われたからといって、公的な資金4千万円をつぎ込んで復興するというのは「何かおかしいのではないだろうか」と原田氏は疑問を呈する。

 実は阪神淡路大震災のときも、被災者1人あたり約4千万円を国などの財政資金で負担したという。日本人1人あたりの物的資産はほぼ1千万円である。だから、阪神淡路大震災のときも、復興どころか、元の物的資産の何倍もの投資が行なわれたということがわかる。シャッター商店街、たくさんの空きビルなどが神戸などに多いのは、復興と称して、やたら箱モノなどに投資し、それがゴーストタウン化したのだという。

 同論文で、原田氏は日本の原発がここまで増えたのは、原発は多大な経費がかかるため、より人が群がること、要するに巨大な利権であるという視点を提示している。大震災の復興も同様に巨大な利権と化すから、東日本の場合も、損害の4倍にもあたる財政資金が注ぎ込まれるおそれがある。

 したがって、震災復興予算の本番ともいうべき第3次補正予算案の作成、審議にあたっては、政府も国会も、財政危機をも踏まえ、効率的な復興を目指すべきである。

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