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2011年7月31日 (日)

信念なき政治家、菅首相

 政府は29日、復興基本方針を発表した。10年間の復旧・復興対策の規模は国・地方合わせて少なくとも23兆円程度、最初の5年間の「集中復興期間」に実施が見込まれる事業は少なくとも19兆円程度という。原発事故による損害賠償などは含めないで、これだけの費用がかかると見込んでいるのである。

 これらの金額を日本の人口で割ると、国民1人あたり10年間で少なくとも19万円弱、最初の5年間で少なくとも15万円弱になる。生まれたばかりの赤ちゃんから寝たきりの高齢者までの全ての人がそれだけのおカネを負担しなければならない計算だ。「少なくとも」というのは最低限それだけかかるという意味だから、実際、復旧・復興のツケがどこまで膨らむかは想像もつかない。

 では、実際に、そのカネをどこから調達するのか。復興基本方針には具体的な記述は一切ない。日本経済新聞の30日付け朝刊によれば、「次の世代に負担を先送りすることなく、今を生きる世代全体で連帯し、負担を分かち合うことを基本とする」という。5年間の「集中復興期間」の財源は、歳出削減、国有財産売却、特別会計などや時限的な税制措置により13兆円程度を確保するとしているが、「税制措置は基幹税などを多角的に検討する」とあるだけ。増税という言葉を避けている。また、つなぎ的な復興債に関しても、償還期間は今後検討するというにとどまっている。

 そして8月以降に税制調査会において税目、年度ごとの規模を組み合わせた税制措置の選択肢をつくって復興対策本部に報告したうえで、「政府・与党において改めて検討し、同本部で決定する」としている。それに、「与野党間の協議をよびかけ、合意をめざす」というのだから、復旧・復興に関する財源の確保策が決まるのは、一体、いつのことかと言いたくなる。

 すでに繰り返し報道されたように、政府は復興基本方針に10兆円の増税を明記しようとしていた。だが、民主党内の増税反対論が非常に強いため、29日に決定された復興基本方針は10兆円の増税を明記しなかった。したがって、民主党が政権を握っているうちは増税は党内の反対が強くて、まず行なわれない可能性が大きい。

 3.11からまもなく5ヵ月になる。復旧・復興を推し進めるためには、国・地方が一体となって具体策を取りまとめるとともに、その実現を裏付ける財源を確保することが不可欠であるが、それらがいまもって中途半端である。復旧・復興を政策課題の第一に挙げる菅総理大臣なら、民主党内の異論を排して、威風堂々「我ゆかん」と10兆円の増税を国民に訴えて当然だろう。それが信念のある政治家のすることである。

 菅首相は自らの進退に関して、辞めると言った覚えはない、と言って居座っている。それと同じで、復興基本方針には「10兆円増税」と明記されていないのだから、民主党内の増税反対派は勢いを増すに違いない。それでは、財政健全化と両立する復旧・復興対策は実現できないだろう。信念のないままに、首相の座にしがみついている菅氏のもとでは、震災からの復旧・復興すら難しいのではないかと憂う。 

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コメント

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投稿: Freeman19SELENA | 2012年5月17日 (木) 11時10分

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