« 財務副大臣の「増税」への意見 | トップページ | 変な党、変な新聞 »

2011年8月25日 (木)

格下げは国債だけでなく、銀行、自治体なども

 米ムーディーズ・インベスターズ・サービスが24日、日本国債の格付けを1段階下げてAa3にした。一番上のAaaから数えて4番目のランクで、財政・経済危機下にあるイタリア、スペインより1段階下となった。長期デフレに東日本大震災が加わり、かつ、現在の政治情勢にみられるように、日本政府の財政改革への取り組みがおろそかになっているためである。

 この格付け引き下げに対し、野田財務相は「国債の入札は順調であり、国債への信認に揺らぎはない」などとバカなことを言っている。日本国の債務は主要国の中で突出して多く、財政健全化はわが国の焦眉の課題である。当然、総裁選でも政策の争点となるべきテーマである。党総裁選に出ようとする野田氏にとっては、マーケットへの影響を考慮して発言する必要があるとはいえ、財政改革に積極的に取り組むと主張する絶好の機会だったのに、それをみすみす逃した。

 今回の格付けに関するムーディーズの発表を読むと、いろいろな発行体の格付け引き下げが載っている。三菱東京UFJ銀行、三井住友銀行もAa2から1段階下がってAa3になった。また、みずほフィナンシャルグループの傘下行はAa3からA1に下げ、さらに、この格付けを引き下げる方向で見直しの対象にしたという。

 邦銀の多くが格付け引き下げの対象になったが、その理由は何か。国債の格付け低下が示す日本国の経済財政力の低下により、1つには、金融機関が将来、危機に直面したときの政府の支援能力が低下しているのではないか、2つには、危機が到来したとき、政府はより重要な銀行だけを選別して救済する可能性が高まるだろう、と想定されるからである。

 また、ムーディーズは日本の政府系機関13と主要な県・市の12をやはりAa2からAa3に格下げした。日本高速道路保有・債務返済機構、日本政策金融公庫などの政府系機関は日本政府の債務格付けによって制約を受けているので、同じ格付けになった。

 静岡県、広島県、大阪市、名古屋市、福岡市などの格付けについても、「中央集権的システムとリスクの社会化という歴史に基づき、日本政府と自治体の結び付きが非常に強いことを反映、両者の格付けは同格と考えている」と説明している。

 ほかにも、電力、ガスなどの引き下げを行なった。一般の事業会社でAa3の6社(トヨタと子会社、信越化学工業、富士フィルムホールディングスなど)の格付け見直しを継続としている。

 このように、格付け会社の目からみると、日本という国家の経済力は明らかに衰えてきている。しかも、日本国政府のリーダーたちは、その事実を直視していない。そう判断しているのである。そうした指摘を日本の国民や政治家はきちんと受け止めるか、それとも無視するか、大きな分かれ道にある。格付けを「警報」と受け止めるべきである。

|

« 財務副大臣の「増税」への意見 | トップページ | 変な党、変な新聞 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/184848/52560171

この記事へのトラックバック一覧です: 格下げは国債だけでなく、銀行、自治体なども:

« 財務副大臣の「増税」への意見 | トップページ | 変な党、変な新聞 »