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2011年10月 6日 (木)

2週間、日本を離れて

 9月下旬から約2週間、フランス国内で気ままな旅をしてきた。ほとんど日本の情報に接することもなかったが、10月5日に帰国して、その日の新聞を読んでも、約2週間のブランクを感じなかった。その間、日本国内の主な出来事は、台風で帰宅が困難だったほかに、株式市場など金融マーケットの動きが荒かったぐらいか。

 ギリシャの財政危機をどう打開するのか、EUは金融機関の経営悪化問題をも抱えて深刻な局面にある。財政難の米国では、貧富の格差の増大や失業に反発するデモが連日、ニューヨークで行なわれていると報じられている。

 ところが、日本は、というと、世界一の財政悪化状態にあるにもかかわらず、従来通りの大幅な赤字国債依存予算に、大震災・原発事故の復旧・復興費用を上乗せする財政運営を続けている。財政支出をうんと厳しく絞って、借金残高の増加に歯止めをかけたり、増税などで税収増を図らないと、国家財政は早晩、破綻する。そうした危機意識が日本の政治には欠けている。だが、原発問題を含め、現状に抗議するデモは小規模にとどまる。官僚依存に転じた民主党の素人政治は当分続きそうだ。

 話はフランス旅行に戻る。パリでは、オルセー美術館、ルーブル美術館、凱旋門、シャンゼリゼ大通りなど、観光名所を見て回った。1971年に初めて訪れたのだが、その頃と比べての感想など気付いた点をいくつか挙げると――

 とにかく観光客がものすごく多い。どこも人、人、人‥‥だ。入場券を買うための行列も長い。パリには世界中から人がやってくるが、それがかなり増えているというのは、観光で来るにせよ、ビジネスで来るにせよ、世界では豊かな人(の絶対数)が増えていることを示しているのではないか。特に目についたのが中国語をしゃべる人の多さである。団体旅行客では、日本人より相当、多いような印象を受けた。私たちはパリでも、南仏でも、地元の子供に「ニイハオ」と声をかけられた。

 初めてのフランス旅行時は、当地に白人以外は少なかったように思う。今日、肌の色がいろいろな人がいる。言語のことはわからないが、白人も、かつてと違い、さまざまな国の出身者がいることだろう。

 ルーブル美術館では、名画「モナリザの微笑」の回りには円くロープを張って、近づけないようにしてある。絵から5mぐらい離れているか。回りはすごい人だかりだった。40年前、初めて見たときは、普通の絵画同様、まじかで見ることができた。注意しなければ、見過ごすかもしれなかった。その後も、1980年、90年ごろに見たが、ちょっとした枠にはめていただけのように記憶する。かつては、模写のために来ていた学生を見かけたが、そんな行為はいまや全く不可能である。

 付け加えれば、警備は格段に厳しくなっている。オルセー美術館では、持ち込むカバンなどもチェックしている。

 シャンゼリゼ大通りにはルイ・ヴィトンなどファッションのブランドの店がある。トヨタの店もある。高級イメージの、庶民には近寄りがたい店が多い。しかし、40年前は、シャンゼリゼといえども、庶民的な各種の店があった。私はシャンゼリゼ大通りで凱旋門からそう離れていないところにある床屋(理髪)に入って、髪を切ってもらった覚えがある。

 フランスを走る乗用車はほとんど小型である。もともとルノーなど同国の乗用車は中・小型中心だったが、今回、中・大型車が少ないことを認識した。日本の軽の大きさのクルマも相当のスピードで走っていた。小さいクルマへのシフトの背景には、古い市街地では路上駐車が当たり前であること、それに、燃費の節約意識が強くなっていることがあるのかもしれない。

 クルマについて言えば、交通信号はクルマ優先である。健常な歩行者が歩道を横断し終わらないうちに赤信号に変わる。だから、ほとんどの人が赤信号のうちに歩き出し、青信号が赤信号になっても、歩みを止めず渡り切る。

 自転車好きな国民であり、電車に自転車を持ち込むことができる。また、パリやほかの地域でも、レンタサイクルの仕組みがあった。ただ、どれだけ利用されているのかが気になった。たまたま、あちこちで見かけたものの、利用待ちのものが多かったからである。

 日本の新幹線のように高速で走るTGVに乗った。パリ――マルセーユの路線のうち、アヴィニヨンとエクサン・プロヴァンスの2つの駅を利用した。エクサン・プロヴァンスの駅は、在来線だと、かなり街の中心部に近いが、TGVの駅は約20kmも離れている。あたりは田園である。ほかにも、田園の中にある駅を通った。直線的に線路を敷くほうがパリ――マルセーユ間を短くできるからだろう。TGVのエクサン・プロヴァンス駅周辺にはクルマがたくさん駐車していた。バス便もあるにはあるが、TGVはクルマ社会を当然の前提にしているとしか思えなかった。

 TGVの車窓からも改めて感じることだが、フランスの国土は本当に広く平坦で、農業国である。だが、店頭に並んでいる豊富な果物を見ると、日本で生産される果物に比べ、小ぶりであり、あまり品種改良された様子がうかがえない。味は素朴であり、それはそれで素晴らしいと思うが、売らんかな、の工夫は日本産のほうがはるかに進んでいる。自然条件に恵まれた分、フランスの農業は工夫・改善の必要性を感じないということだろうか。 

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