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2011年10月21日 (金)

同族経営、大王製紙の「事件」

 大王製紙の元社長、井川意高氏が何社ものグループ企業から全部で100億円を超すカネをきちんとした契約もなしに借りていたという「事件」が大きく報道されている。そのカネを何に使ったのか、さだかではないが、この出来事から思い出すことがいくつかある。

 大王製紙はパルプから製紙までの一貫メーカーで、わが国では王子製紙、日本製紙グループに次ぐ第3位の大手である。第2次世界大戦後、日本の製紙業界は需要が拡大しながらも、設備拡張競争による低収益に悩まされてきた。このため、王子製紙と本州製紙が合併、十条製紙は山陽国策パルプと合併(日本製紙となる)し、抄紙機の設備拡張抑制によって価格支配力を高めようとした。しかし、それに従わず、設備の拡張を進める“アウトサイダー”がいた。大昭和製紙と大王製紙である。

 これら後発2社は業界の協調には加わらず、独自の路線をとった。だが、大昭和は斎藤一族の同族経営で、同社および関係会社を公私混同で経営したため、ピンチに陥り、日本製紙の傘下に。そして、今度は、大王製紙が同族経営の欠陥をさらけだした。経営者が会社や関係会社から勝手にカネを引き出すことは法律で禁止されているのに、同社の関係会社は、井川氏に言われるままにカネを渡していた。井川氏が親会社のトップであり、創業家の出身であるということで、法を無視したのである。上場会社なのに、ガバナンスが機能しなかった。

 かつて、石油業界では、出光興産が業界の協調体制に加わらず、アウトサイダーの立場を利用してどんどん、ガソリンスタンドや設備の拡張を行ない、大手の一角に立った。また、鉄鋼業界では、新日本製鐵などの高炉大手のカルテル体制に加わらず、東京製鐵が製鋼設備を拡張して独自の地位を確立した。

 このように、大手メーカー中心の既成秩序に挑戦して成功した企業は、創業者の事業理念を受け継ぎ、チャレンジを続けた企業である。だが、創業者の苦労を知らず、ちやほやされて育った後継者たちは、「売り家と唐様で書く三代目」になりがちだ。井川意高氏はその典型のように思われる。今回の「事件」はもちろん本人に大きな責任があるが、家族や会社の幹部にも重い責任がある。コーポレートガバナンスなどと言う前に、当たり前のことがきっちり行なわれる企業風土に変えていかねばならない。

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