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2011年11月 4日 (金)

ギリシャ危機は数年先の日本を予告しているのかも

 世界中を脅かしているギリシャの財政危機。同国の政治が全く指導力を失っており、“苦い良薬”を飲むよう国民を説得できそうにない。国債市況は暴落し、最新の情報では、海外でギリシャ国債を最も多く保有しているBNPパリバは保有する同国債の簿価を60%切り下げたという。ギリシャ危機の深化につれて、イタリア、ポルトガルなど財政状態が悪い国の国債も値下がり(利回り上昇)しており、ギリシャがこければ、これらの国も連鎖的に金融危機に見舞われるかもしれない。

 だが、日本はこのEU諸国の危機を遠い対岸の火事視してはいないだろうか。いま、すぐに日本が財政破綻する可能性は小さいとはいえ、近い将来を考えると、その可能性は非常に大きいと言わざるをえない。

 国内貯蓄で国債を消化している限り、財政破綻は起きないといわれてきた。別の言い方をすれば、経常収支が黒字である限り、大丈夫、というわけである。しかし、最近は貿易収支が赤字になる月もあり、円高による生産拠点の海外シフトが顕著になっているので、間もなく年間合計で赤字になると見込まれる。そして、経常収支の黒字が縮小し、赤字に転換する時期がやって来るだろう。枝野経済産業大臣は「おそらく2015年に日本の経常収支は赤字になる」と語っている(朝日新聞11月4日朝刊)。同大臣は、日本の経常収支が赤字になれば、円は暴落する、ギリシャの財政赤字は日本にとってひとごとでなくなる、ということも言っている。

 いまは“安全資産”にみえるからか、外国の投資家が円を買う勢いが強い。その一部は日本国債の購入に向かっている。このため、ことし6月末現在、外国投資家の日本国債保有額は66兆8600億円で、国債発行残高に対する比率は7.4%と前年同期を1.4%ポイント上回っている。その後も、外国人投資家の日本国債買い越しは続いているようだ。

 だが、外国投資家はEUの金融危機の動向や日本の財政健全化への取り組みいかんなどですばやく日本国債を売ったり買ったりするだろう。それが日本国債の市況に及ぼす影響はまださほどではないと思われるが、保有比率が2ケタになれば、外国投資家の売りや買いで相場がかなり振れるおそれが出てこよう。それがきっかけで、財政危機に追い込まれる懸念もある。

 野田総理大臣はG20の首脳会議で、社会保障費の安定財源を確保するため2010年代の半ばまでに段階的に消費税を10%まで引き上げると明言した。しかし、この増税で国債発行残高が減るわけではない。毎年、数十兆円ずつ国債残高が増えるのを抑える手だてはほとんど何も示されていない。当然、財政悪化は年を追って深刻化しよう。ギリシャの危機は日本の危機の前触れと受け止めるのが適切ではなかろうか。

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