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2011年11月28日 (月)

「大阪維新の会」の勝利

 橋下徹大阪市長、松井一郎大阪府知事の誕生で、大阪市・府が関わる出来事は全国ニュースとして頻繁に報じられることになりそうだ。経済面などで地盤沈下が著しい大阪が新コンビの活躍で活性化することも期待したいところだ。

 「大阪維新の会」の牽引者である橋下氏と、同氏を支える松井氏とは、ロシアのプーチン首相とメドベージェフ大統領のコンビと似たところがある。独裁者的な点で、橋下氏とプーチン氏は似ているし、橋下氏が府知事から市長になったところは、プーチン氏が大統領から首相に転じ、また今度は大統領になろうというのと似ている。2人とも、その時々にやりたいことをやれるポストに移ることを何とも思わない。もしも、大阪府や大阪市が国に求める改革が受け入れられなければ、大阪維新の会は、国政を変えるための政治活動を始めるだろう。橋下氏らが地方政治に新しい波を起こしたことは確かだし、国政の側も、新たなチャレンジとして警戒もするだろう。

 「大阪都構想」の中身についてはここでは触れない。だが、地方分権、地域主権、あるいは道州制などという言葉だけが先走り、国と地方のありかたを抜本的に見直す必要がありながら、さっぱり見直しを進めようとしない国政に大きな一石を投じるのは間違いない。また、コンビの当選で、大阪府と大阪市の間の百年戦争をなくすことが可能となる。二重行政を整理することができれば、財政面で大きなプラスとなる。さらに、労働組合が市政を左右し、人件費をはじめとする歳出が放漫財政そのものになっている点を改める可能性が出てきた。いずれも、きわめて大きな意義がある。

 また「教育基本条例」案については、賛否の意見が分かれているが、いまの義務教育の問題点を指摘し、関係者が改善に取り組むよう求めている点を重視したい。いま、世界が激動している中で、日本の経済・政治・社会は停滞し、若者も内向きになっている。これを打開する方策の1つとして、戦後教育の歪みを直す必要がある。そういう問題意識を公けにして改革を求める橋下氏の問題提起は貴重である。

 現在の日本は国政が停滞しているだけではない。地方政治も似たようなものだ。地方自治体は国からの交付金などに頼り、自ら、歳入源を創出する努力はほとんどしない。歳出削減の努力も足りない。地域で突出している職員の高給与を是正せず、学校図書館の図書購入費用を削ったりしている。自治体の首長、議会議員のほとんどは自治体職員のコントロール下にある。大阪市はその最たるものだった。それに対し、橋下氏らは、従来、無関心で傍観者だった市民を巻き込んで市政・府政の改革を進めようとしている。

 名古屋市と愛知県など、橋下改革に呼応する自治体改革の動きはすでに始まっている。今回の大阪の選挙結果で、新たに刺激を受けて自治体改革に乗り出す地域も出現しよう。橋下氏のエキセントリックな言動に対する好き嫌いはあるだろうが、同氏が提起している問題はきわめて重要である。

 むしろ、問題は同氏の出自まで洗い出して攻撃するというメディアが相次いだことである。橋下氏らが大阪市長などに就任したら、既得権などを失う関係各層がその背後に存在すると思われるが、このこと自体が、橋下改革の必要性を如実に示しているのではないか。

 

 

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