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2011年11月 6日 (日)

スリー・マイル事故の調査団報告書(1979年)を読み返す

 古い書籍などを整理しようと物置を調べていたら、「スリー・マイル・アイランド原子力発電所事故調査団報告書(昭和54年4月、電気事業連合会)が出てきた。興味深いので、少し紹介する。

 調査団は当時の九州電力取締役原子力部長が団長となり、副団長および団員も九電力の原発担当者および米国事務所のメンバー。1979年3月28日に事故が起きてからわずか半月ちょっとあとの4月14日に成田を出発し、同23日に帰国した。そして報告書の日付は4月となっている。電力業界がスリー・マイルの事故をいかに重視していたかが想像できよう。

 「まえがき」には、「事故に関して電気事業者の立場で、直接関係者から事情を聴取し、その詳細を調査することにより、何が発端になって事故が発生し、何が事故を拡大させたかを明らかにし、国内の原発の安全性、信頼性の一層の向上に資するため」と述べている。

 報告書本文で注目したのは、第一に、事故の時間を追っての経過(事故シーケンス)がかなりくわしい。政府発表資料などにより「3~6秒後 加圧器逃し弁開」などと事故発生時からの事故事象が明らかにされていること。

 第二に、軽微な放射能放出にとどまったにもかかわらず、州知事が3月30日に5マイル以内の妊婦と学齢期前の幼児に退避勧告を出したりしたことなどで、大きな社会的反響をよんだことから、「正確かつ迅速な情報伝達がまず第一に肝要と考える」と指摘していること。

 第三に、「カーター大統領は4月11日付けで11名の広範囲の人々からなる事故調査特別委員を任命し、約6ヵ月の予定で事故等の究明に当たらせることを発表した」。「この報告は非常に強い影響力を持つものと予想され、為すべきことが為されていたか、安全対策でどのような変更が必要か等々が検討され、その結果が議会に報告されることになる」と述べていることだ。

 「調査結果のまとめ」は「調査の結果、日本の軽水炉はスリー・マイル・アイランド2号機の設備に比較して、種々の点で安全性が高いことが判明した」と言っている。

 スリー・マイル・アイランド2号機はバブコック&ウイルコックス社製のPWR(加圧水型軽水炉)で、日本の関西電力などが導入しているウェスチングハウス社製のPWRと若干違うが、「日本のPWRがより安全性が高いと言える」としている。また、フクシマなどのBWR(沸騰水型軽水炉)はPWR発電所と設計理念が異なっているため、直接、設備面から比較することはできないが、「スリー・マイルのような事象に対して十分対処でき、安全であると考える」と結論づけている。

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