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2011年11月 9日 (水)

リーダーシップを欠く野田民主党政権

●TPP(環太平洋経済連携協定)に日本が参加する方針を10日、野田首相が記者会見で表明する予定と伝えられている。このTPPの交渉に参加するか否かについて、野田首相は民主党内の、この問題に関するプロジェクトチームの結論が出るのを受けて、自らの意向を決定するという言い方に終始してきた。

 複雑な問題なので、慎重に党内で検討してもらうというのは必ずしも悪いとは言えない。しかし、農業関係や医療関係の強い反対を受けて、街頭演説までしてTPPに絶対反対と唱えてきた民主党議員までいる。それだけ、政治的にも大きな問題になったTPPである。野田政権は、TPPとは何か、その詳細な内容と論点、そして、わが国の将来にどのようなプラスとマイナスがあるかを国民にわかりやすく説明すべきであった。国会でも、十分に時間をかけて議論すべきだった。

 野田首相が一貫して、自らの見解を明らかにしなかったのは、TPPの全体像がよくわからなかったからではないか、とすら疑う。が、それはさておき、プロジェクトチームの結論が最終的に交渉参加すべきではない、という内容だったら、野田首相はそれに従うつもりだったのだろうか。あるいは内閣と党執行部との内々の合意で、反対する勢力に言わせるだけ言わせ、最終的には交渉参加に反対しないという結論にするという筋書きで田舎芝居を国民にやってみせたということか。はっきりしているのは、これほど重要な問題に対して、首相が積極的にリーダーシップを発揮することはなかったということだ。

 野田首相がTPP交渉への参加を発表したとしても、国民はTPPへの参加で何が起こるか、日本の経済や社会がどう変わる可能性があるかについて、よく知りたいと思う。それに答えることができるよう、十分に情報公開、わかりやすい説明を求めたい。

●東日本大震災の復興財源となる所得税増税の期間が25年間になるという。民主、自民、公明の三党の合意による。償還期限が最長25年までの復興国債を発行し、その償還財源として所得税の増税を25年間行うことになる。民主党は当初10年としていたが、増税の負担が重すぎると自民、公明が反対し、期間を25年にまで延ばした。

 復興財源を所得増税で賄うのは、大震災の被災者に対して「かわいそうに」と他地域の人々の同情や支援が集まりやすいからだ。したがって、被災からあまり年月が経たないうちに増税を終えるのが望ましい。

 だが、三党の合意はそれとは正反対である。年々の負担が軽ければいいという政治的な判断があるからだろう。しかし、年収500万円の標準世帯では、年間1240円の増税にしかならない。増税期間を10年としても、その3倍程度にすぎない。家族で1回、外で食事したら支払う程度なので、復興のためなら国民に受け入れてもらえる額だ。

 自民、公明は現在の国の財政状況をわかっているはずである。国民1人あたま800万円ぐらいの借金を抱えており、財政破綻を避けるには、大幅の増税が必須である。税と社会保障の一体改革においても、消費税の増税を実施せざるをえない。したがって、いまのうちに、復興財源となる臨時所得増税は早く終えておきたい。それなのに、復興財源確保のための時限的な所得増税さえも期間を延ばして見かけ上、少なくしようとするのはどうみても納得できない。

 野田首相は10年のほうが望ましいという考えを表明している。だが、何が何でもそうしたいという主張や説得をするわけでもない。国民に向けて訴えるわけでもない。要するに、与野党折衝にゆだねてしまっているのである。残念ながら、これでは野田首相を理念なき政治家と言わざるをえない。

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