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2011年12月19日 (月)

循環型社会を妨げる放射能汚染

 過去十数年間、わが国は廃棄物の再資源化などをはかった結果、廃棄物の処理処分場不足が緩和し、枯渇性の天然資源の再利用などが進んだ。資源生産性を高め、循環型社会へ踏み出した。しかし、福島第一原発による国土の放射能汚染はこの資源循環を妨げるようになっている。

 過去に環境汚染や公害を引き起こしたダイオキシン、PCBなどの有害物質は化学反応とか熱分解などで人畜無害のレベルに始末することが可能である。しかし、放射性物質を分解したり、無害化する技術はない。このため、放射能汚染の防止には、放射性物質を隔離保存するしかない。除染はこっちからあっちに移し、遠ざけるだけのことで、あとは周辺環境への拡散で汚染濃度が薄まるのを待つぐらいしかないのである。

 日本では、1980年代後半から、廃棄物が増える一方なのに、その焼却場や最終処分場がNIMBY(地元民の設置反対)のために確保できず、不法投棄などが相次いだ。そこで、1990年代半ばごろから、廃棄物の再資源化(リサイクル)や資源循環を推進しようと、リサイクル法などの法規制を導入し、企業や自治体のリサイクル、省資源に対する取り組みが盛んになった。その結果、日本は3R(Reduce、Reuse、Recycle)の先進国になった。

 しかし、フクシマの放射性物質による国土の汚染は、資源循環を妨げ、資源生産性を下げる方向に働く。セシウムなどの放射能が高濃度だと、廃棄物であっても焼却場で焼却するわけにはいかないし、焼却灰も基準以上の放射能だと、最終埋め立て処分場に投棄することもできない。始末のしようがない厄介ものを抱えるのである。

 最近、テレビなどでも報道された千葉県柏市はいわゆる放射能汚染のホットスポットであるが、高濃度の放射能汚染焼却灰を受け入れてくれる埋め立て処分場が全国どこにもない。したがって、クリーンセンターに保管するしかなく、所内が一杯になる年明けにはセンターのごみ焼却そのものをストップするしかないという。東北地方で汚染濃度が高く市販できないコメ、果物なども、焼却して放射能が飛散するのを避けるとすれば、とりあえずの保管場所にずっと置いておかざるをえない。

 こうして、日本のあちこちに、放射能で汚染された物の置き場所が設けられていく。福島原発など原発の敷地内でも同様で、汚染水や汚染物質の容器がどんどん溜まっていっている。限られた日本の領土の中で、こうした放射性物質を抱える場所が必要不可欠になっている。このように、資源循環が部分的にせよ、止まりだした。

 フクシマ以前には、例えば、セメント会社が自治体の一般廃棄物焼却灰などをセメントの原燃料として利用していたように、さまざまな産業・企業が自治体や他分野の事業所からプラスチックごみなど廃棄物を受け入れていた。また、自治体内部に埋め立て処分場がなくても、カネを払って遠方の処分場に受け入れてもらってきた。しかし、放射能汚染はそうした資源循環を妨げる。

 日時が経つにつれ、日本の国土の放射能汚染は拡散し、廃棄物の汚染レベルは一般的には低下しよう。しかし、再資源化で放射性物質が濃縮する可能性もある。長期にわたって放射能汚染の影響が残る以上、資源循環型社会は不十分なものとならざるをえない。 

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