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2011年12月12日 (月)

ダーバン合意では温暖化の勢いは止まらない

 南アのダーバンで開かれていたCOP17(気候変動枠組み条約締約国第17回会議)は2015年までにすべての加盟国が参加する新たな温室効果ガス排出削減の法的枠組みをつくることで合意した。また、排出削減の第1約束期間が2012年末で切れる京都議定書については、2013年以降の第2約束期間、日本、ロシア、カナダは削減義務を負わず、EUなど一部の国が削減義務を負うことになった。

 日本は1年前のCOP16で、すべての主要国が参加し、真に公平かつ実効的な1つの法的拘束力のある国際的枠組みを構築するよう求めた。それが今回の合意で実現に向けて動き出すことになったという評価もできるが、報道された限りでは、日本代表団の存在感は薄かった。京都議定書の削減義務を第2約束期間には負わないというネガティブな方針のせいだったと思うが、すぐれた環境対策技術を持つ日本のポジティブな面をアピールする方法があったのではないか。

 京都議定書ができた1997年と今日とでは、温室効果ガスの主要排出国の顔ぶれはガラリと変わっている。最近では、中国が世界で1番排出量が多い。米国は2番。両国だけで4割を超える。それに続くのがロシア、インドである。以上の4ヵ国だけで世界の排出量の5割を上回っている。日本は5位だが、4%程度である。6位はドイツで3%弱となっている。

 ダーバン合意によれば、すべての参加国が参加する枠組みづくりの交渉を2015年までに終え、2020年以降に発効するという。だが、いまから発効までの10年前後の間に、中国がいまのような高成長を図れば、同国の温室効果ガス排出量は相当に増えるだろう。インドやブラジルなども排出量が顕著な伸びを見せよう。米国が自主的にどの程度、排出削減ないし抑制に乗り出すかも気がかりな点である。

 今回の合意では、こうした大口の排出国の入っていない京都議定書を延長せよとの声が強かったが、これは主要排出国に削減義務を課さない京都議定書の欠陥に目をつぶったアンフェアな主張だったように思える。

 いずれにせよ、主要排出国が自主的にある程度の温暖化対策に取り組むとしても、今後10年前後、国際的な削減義務を負わないというのは、人類の未来に対する大きなマイナスである。すでに温暖化による異常気象や災害などは顕著になっている。温暖化対策の遅れで、人類は今後もっと深刻な打撃をこうむる公算が大である。したがって、NPOなど民間の、国境を超えた活動と連帯で、主要排出国のすべてに対し、環境対策の強化をしきりに促す国際世論を形成していくことが望ましい。

 世界が皆、納得する効果的な削減ルールを設けるのは至難のわざである。だが、どこの国の人であれ、すべて宇宙船「地球号」の乗組員である。自国ないし自分さえよければと考えて温室効果ガス排出削減の努力を怠れば、そのツケは必ず自分たちにも回ってくる。 

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コメント

EUのCO2排出課税の実施は地球温暖化問題について世界での比較優位の確立を狙うことが分かりました。これから、航空市場だけではなく、さまざまな分野に拡大するかもしれません。これはEUの野心的戦略でも言えるだろう。
中国、アメリカなどの国は積極的に国際的な削減義務を負うことが認めなくて、短期的にCO2を削減する国際的枠組みを構築することもできないが、この流れを止めることができないと思います。
この背景で他国に対する優位に立つするために、いろいろな努力が必要です。たとえば、カーボンフットプリントでCO2を「見える化」の推進、技術革新などです。
地球温暖化問題の解決に対する、国々の動きから、どこの国でも自国の最大の利益を追求することもわかります。

投稿: yuanbihua | 2012年3月 6日 (火) 15時45分

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