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2011年12月 5日 (月)

林正義東大准教授が「地方公共団体も自ら増税を考えよ」と

 最近、開館した日比谷図書館で『地方財政』の2011年10月号の「論評」が目にとまった。林正義東京大学大学院准教授の「地方財政と社会保険改革」という一文である。なるほどという指摘もあり、参考になった。ここで、それを紹介する。

・日本は政府部門間における課税標準の重複が極めて多く、かつ、全国共通の社会保障制度を持っている。それなのに、政府部門間での一括徴収をほとんど実施していない、世界でも珍しい国である。国税庁、地方公共団体の徴税部門、および日本年金機構という3つの徴税(徴収)部門を統合し、削れるところは削り、増員すべきところは増員して、税務執行体制を大幅に強化すべきである。

・地方税の増税で地方税収が増えると、国からの財政移転は減る。国はその分を地域間格差解消など他の目的に充てることができる。また、現在の地方交付税を前提とすると、地方税の増加分ほど交付税は減らないから、地方公共団体の一般財源も充実する。

・地方は年金以外の社会保障の大部分を担っている。このため、地方税収の充実は即、社会保障制度の充実につながる。この点は、他の先進国と異なる日本の特徴であり、今後の社会保障財源を考える際の重要な視点である。

・すでに地方公共団体は消費(地方消費税)、個人所得(個人住民税)、法人所得(法人住民税および事業税)、土地・家屋・償却資産(固定資産税)という巨大な課税標準(本来の意味での「税源」)を持っている。それに、住民税と固定資産税には制限税率もなく、独自に税率を上げることができる。

 これらの点を指摘したうえで、次のように述べている。「増税は国だけの問題ではない」と。地方政府は社会保障で大きな役割を担っているのだから、真剣に自らの増税を考える必要があると問題提起している。

 地域主権を唱える一方で、国にもっとカネをよこせという傾向が地方自治体にまだまだ強い。林准教授の論評は、単なる論評ではなく、地方への叱咤激励である。

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